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2007年7月 3日 (火)

小鳥さんに合掌(-人-)

クリストファー・ノーラン監督は、話題となった「メメント」こそあまり内容が好きではなかったが、「インソムニア」と「バットマンビギンズ」で見逃せない監督になった。映像から伝わってくる独特の陰鬱さと重厚感が好きだ。その監督の最新作が、「何でもあり」というイメージが自分の中で定着している19世紀末のロンドンを舞台としているというのだから、ますます期待が高まるってものだ。

「プレステージ」(2006年 米)
★★★★★

Fi2621478_1e_2 修行中からライバルであった2人のマジシャンが、ある女性の死をきっかけとして互いに憎み合うようになり、復讐を込めたイリュージョンバトルを繰り広げたあげくに行き着いたのは…。
よくできた話だと思ったら、原作があった。クリストファー・プリーストの『奇術師』。本が出た当初日本でも話題になっていた記憶がうっすらとある。

この映画の感想は非常に書きにくい。印象的部分を具体的に書こうとすると、ずばり映画(マジック)のネタバレにもなってしまいそうだ。いつもは「まあいいか」とネタバレを書いてしまう私もさすがに遠慮する。映画の冒頭にも「口外しないで」との断り書きが出るしね。でも、やっぱり、以下は漠然とネタバレしていると思う・・・。注意です。


貴族出身のロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)と、おそらく労働階級出身と思われるアルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベイル)(そもそもライバル心の源は、この生い立ちの違いだろうか・・・)。
2人がそれぞれに完成させることになる「瞬間移動」のイリュージョンが、タネ明かしをされてみれば、人を食ったような仕掛けだ。映画(マジック)を観る前に知らされたら、コメディと勘違いするよ、きっと。もしくは人によっては、片方は非現実的で反則だとガッカリするかも。でも、自分はふだんから手品の類いにほとんど関心がないせいか、トリックが現実的でも非現実的でもどっちでもよくて、人を騙すことができればマジックってことでいいんじゃないかと思って観てた。映画が描いているのは、2人のマジックに賭ける異様な執念であり、瞬間移動のタネはそのことを表現するための道具にすぎない。仕掛け自体はなんであれ、この執念ゆえに2人は天才と呼ばれるにふさわしい。

2人が世紀のイリュージョン完成のために「犠牲にしたもの」というのがとんでもないのだ。ボーデンのほうは、敵国に一生潜伏を覚悟したスパイの心理と似ていると思われ、まだ少しは理解できる部分がある。しかし、アンジャーのほうは、まさしく悪魔に魂を売った男。あの瞬間のアンジャーの気分を想像することは、未知の恐怖を覗きみる思い。後からじわじわと効いてきて、参ったよ。
面白かったです。時代を再現したセットなども素晴らしかった。

ところで、登場人物の一人、いかがわしげな科学者ニコラ・テスラ(デヴィッド・ボウイ)が、実在の人物とはまったく知らないで観たもので、彼がトーマス・エジソンに雇われた男たちに追われているという意味がよく分からなかったのだが、後で調べてみて納得した。つまり映画の中には、もう一組の天才たちの熾烈なライバル争いが描かれていたんですね。
エジソンといえば昔から子供が尊敬する偉人の代表格だが、この映画に登場する(名前のみだけど)エジソンはかなりブラックなイメージ。実業家としてのエジソンがけっこうエグいことをやっていたとしても驚かないけど、それをほのめかしながら描いているのが愉快。
ついでにWikipediaのテスラの項目を読んでみた。エジソンとの確執は映画のイメージを超えていた(笑)。かなり面白い。エジソンの項目に書かれているテスラへの嫌がらせもかなり面白い。ノーラン監督、本当はこっちの2人の確執を描きたかったんじゃなかったりしないか。

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