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2007年6月 2日 (土)

1919-1963

黒人差別が根強く残るアメリカ南部の田舎町を舞台とした大河警察小説。

『警察署長』スチュアート・ウッズ著/真野明裕訳
(ハヤカワ文庫 1987年文庫化)

Fi2621467_1e ジョージア州デラノ。綿花農業を営むウィル・ヘンリー・リーは、象虫被害が広がる畑に見切りをつけ、町で初めての警察署長に立候補するために、デラノ銀行頭取で市議会議長でもあるヒュー・ホームズの元を訪れる。実は警察署長の職を切望していた男はもう一人いたのだが、議会で選ばれたのは性格が真正直で知られるリーのほうだった…。

これは面白かった。名作といわれているらしいが、さすがに文句のつけようがない。1981年のMWA最優秀新人賞受賞作だが、新人とは信じられないほど、話の運びが巧みで、最後の章の締めくくりに満足して余韻に浸る。
「大河警察小説」とは文庫の紹介にあったコピーだけど、言い得てる!

核となるのは、40年以上に及んだ大量殺人事件の解明であるが、それに絡ませて、実にさまざまな物語が並行して描かれる。それらは、町が形成されてから半世紀に及ぶ町そのものの歴史であり、町を育ててきた一人の名士の一生であり、3代にわたる警察署長の話であり、息子は政治家の道を歩むことになるウィル・リー一家の物語であり、フランクリン・ルーズベルトからジョン・F・ケネディに至る民主党の歴史であり、
公民権運動の背景となった南部における黒人の境遇であり・・・。
そして、一発逆転、因果応報ともいえる結末。
ハラハラするところもたっぷりで読み応えがありました。

ずいぶん前にドラマ化されたものがNHKでも放映されたらしいが、覚えていない。キース・キャラダインが犯人役だったらしい。当時ファンだったのに、気づかず見落としていたら残念だ。

スチュアート・ウッズは何年か前に『草の根』というのを読んだが、その小説の主人公は、この小説に登場する初代警察署長ウィル・リーの孫。こっちもすでに内容はよく覚えていないが、『警察署長』のように歴史が絡んだもののほうがたぶん好みだ。

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