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2007年5月10日 (木)

「しかたのない子ね」

人気作家だが、読んだのは初めて。サスペンスでありホラーでありファンタジー。

『禁じられた楽園』恩田陸著
(徳間文庫 2004年刊)

Fi2621457_1e 若き天才美術家の烏山響一から、熊野の山奥に作られた巨大な野外美術館に招待された男女は、むせかえるような緑がおおう夏の熊野を訪ねる。2人は烏山と出会ってから、恐ろしい幻覚を見るようになっており、自分たちが招待される理由もわからずにいた…。
(以下少しネタバレ)

熊野はせいぜい山の麓までだが2回ほど仕事で行ったことがある。南紀白浜に行ったときは羽田から飛行機で行ったのだが、上空から見下ろす紀伊山地はくっきりした稜線が緑の陰影からなる模様を描き、ゴルフ場だらけの関東近辺とは大違いな自然の濃さに圧倒された。ここに一人で入り込んだら二度と出てこられないなという怖さも感じた。
紀州といえば、天藤真の『大誘拐』にも広大な山を所有する地主が登場したと思うが、おかげでこの本に登場する「お化け屋敷」のイメージもわきやすかった。というか、作家の文章力のせいだろうね。とても読みやすかった。変にくどくなく、だれることなく、人物の性格描写がけっこう深いところをついてくるのにも好感もった。

しかし、クライマックスには吹き出したよ。さんざん怖がらせておいて、なにそれ?な展開! 劇画タッチのキャラが、オチでいきなり3頭身のギャグ漫画キャラに変わってしまったような脱力感(笑)
あ、でも私は好きです。面白かった。読んでる途中はけっこう怖かったんで、あまりにバカバカしさにカタルシス。こういう、人によっては裏切りにも感じられるだろう結末は、度胸がないと書けないんじゃないかな。女性作家ならではの度胸という気もするなあ。エンディングはもう少し解釈の幅が残っていたほうが好みかも。

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