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2007年5月27日 (日)

仕事が雑な殺し屋

グラスゴー出身作家の1996年デビュー作。
小説の舞台はイアン・ランキンでなじみ深いエジンバラ!

『殺し屋の厄日』クリストファー・ブルックマイア著/玉木亨訳
(ヴィレッジブックス 2007年邦訳)

Fi2621466_1e_2 殺されていたのは医師。破壊され尽くした部屋の中は大量のゲロ、小便、うんちで催涙ガスのような異臭を放っている。そして、血だらけの死体は、鼻がほとんど噛み切られており、その穴には被害者の切断された指が2本突っ込んであった。フリーのジャーナリストであるジャック・パーラベインは、その上階に引っ越してきたばかりで、警察の捜査中にうっかり被害者の部屋をのぞいたばかりに容疑者にされかかる…。

出だしの殺人現場の描写こそグロいものの後はそれほどでもなく、ユーモアたっぷりの痛快ミステリーだった。汚い!痛い!下品!な、ジョー・R・ランズデールのハップ&レナード・シリーズを思い出したけども、イギリス(スコットランド)という土地柄だろうか。皮肉のきいたユーモアが秀逸! さりげなくかましてくるものだから、流し読みしてたら見落としそう。
また、登場人物の口を借りて、私腹を肥やすことしか頭にない金持ちの権力者たちを痛烈に批判するあたりも面白い。こういうストレートな社会批判を、ユーモア小説の中に違和感なく盛り込むのがいかにもイギリス流クール。
例えばこの一節↓には大きく頷く! 本当に一雇われ労働者には生きづらい世の中だ。

・・・“先見性”というのはじつに便利な言葉だ、とパーラベインは思った。それまでの印象はどうであれ、その言葉を口にした瞬間、そいつが救いようのないクソ野郎だということを暴露してくれるのだから。パーラベインは人や企業がただ仕事をしていた時代を覚えていた。だが、いつの間にか、それだけではじゅうぶんではなくなっていた。しばらくは“前向き”に仕事をこなせば事足りた。だが、いまや“先見性”をもって仕事をする時代になっていた。やっていることは、ただ仕事をこなしていたときと、まったく変わらないというのに。意味のないたわごとだ。彼はこの言葉を聞くたびに、ジョージ・オーウェルが墓のなかで悶絶しているところを想像した。・・・

マクレガー警部やゲイの女性刑事など、主人公以外のキャタクターも魅力的で、シリーズ続きの翻訳が出るのが楽しみ!

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