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2007年4月22日 (日)

命がけの放浪

全米ベストセラーとなったノンフィクション。先月文庫化。

『荒野へ』ジョン・クラカワー著/佐宗鈴夫訳
(集英社文庫 1997年邦訳)

Fi2621448_1e アメリカ東海岸の恵まれた境遇で育ち学業も優秀だった青年が、大学卒業後、大陸をヒッチハイクで放浪したのちに、アラスカの荒野にうち捨てられたバスの中で腐乱死体となって発見される。いったい彼はなぜそのような奥地まで進んでいったのか…。

というようなコピーを書籍紹介で目にし、買ってみた。1992年に新聞に載ったこの青年の死のニュースは、著者によって追跡記事にまとめられ雑誌に掲載された後、大きな反響を呼ぶ。最も多かったのは「若者はノイローゼだったに違いない」という意見で、また相当数は「愚か者」「変わり者」「勝手に命を落としたナルシストなどむしろいい迷惑」といった非難だったというのは、想像に難くない。日本でも同様に、ネット上などで非難のほうに意見が集中しそうだ。何年か前のイラク人質事件でのバッシング騒動を思い出す。
本書は、その後、著者が新たに取材したことと、自身の若い頃の体験談なども交えて一冊の本としたもの。

読後の感想を、謎解き的面白さの側面からいえば、青年が荒野へと入り込んでいった理由、そこで餓死しなければならなかった理由は、それほどドラマチックなものではない。愚かといえば愚かだろうが、それは若気の至り程度のことで、要は「運」がなかった。それだけのこと。彼を否定してしまえば、子供の頃に好奇心から隣町までちょっと遠出というような行動も否定することになるのではなかろうか。

著者のジョン・クラカワーは自身が冒険心あふれた登山家であったため、自然の素晴らしさ厳しさや、自分しか頼る者のいない荒野の世界に同じく魅入られたことのある者として、青年に対する社会の無理解から出た非難の声に反論したい気持ちから、改めてこのノンフィクションを書き上げたのではないかという気がする。本を読んでの青年への評価は読者それぞれに任せると、冒頭で断ってはいるんだけどもね。


なんと、ショーン・ペン脚本・監督で映画撮影が進行中だそうだ。いかにもペンが好きそうな題材だよ! 主人公の青年役がエミール・ハーシュで、脇のキャストがかなり豪華。両親がウィリアム・ハートとマーシャ・ゲイ・ハーデン、青年が放浪中に親しくなった恩人ともいえる人物の役をヴィンス・ヴォーンとキャサリン・キーナーが演じる。それぞれイメージにぴったりのキャスティングで、この映画はぜひ見てみたい。
普通、小説の映画化は、読んでしまったものに関しては観る気が薄れるんだけれども、ショーン・ペンが青年をどう解釈したかに興味がある。

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