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2007年3月13日 (火)

右手を見せない男

西新宿に事務所を構える私立探偵・沢崎シリーズ第1作。

『そして夜は甦る』原りょう著
(ハヤカワ文庫 1988年刊行)

Fi2621434_1e 探偵・沢崎は、ろくに名前も名乗らない男から、沢崎が知っているはずというルポライター佐伯の行方を探すように依頼される。その直後、私鉄とデパートを所有する東神グループの弁護士からの電話で、同じく佐伯の居場所を教えてほしいと頼まれる。調査を進めるうちに、やがて浮かび上がってきたのが、先の東京都知事選での立候補者○○事件とのつながりだった…。

原りょうの「りょう」の漢字が出ません…。
ジャズピアニストであり、のちの直木賞作家によるレイモンド・チャンドラーに心酔して書かれたという初の長編。私立探偵ものといったら、謎めいた人物が場末の探偵事務所を訪れて、謎めいた依頼をするところから始まるのが定番だ(当たり前か)。さらに、探偵・沢崎の事務所は「渡辺探偵事務所」といい、依頼者からはいつも渡辺という名前だと間違えられ、そのつど「私の名前は沢崎」と正すところから会話が始まるのがお決まりのようなのだ。
沢崎の探偵としての先輩であり、パートナーであった当の渡辺は、横領事件に絡み5年前に姿をくらませたままであり、事務所は今も警察とやくざの両方から見張られているという設定。

会話など、翻訳ハードボイルドをもろ意識して書かれていると思うのだが、久々に日本の小説を読むと、やはり日本の小説独特の何かを濃厚に感じる。舞台は1983年だが、もっと古い日本小説に通じる何か。沢崎の推理の末にたどりつく、事件の関係者たちそれぞれの行動の動機というのが、理屈ばかりが先行しすぎている気がして、リアリティに欠けるというか、どうにもしっくり来ないのであった。

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コメント

めずらしくぼくが読んだことのある小説がでた(昔)これよくないでしょ(笑)日本のハードボイルドは矢作俊彦だよ。けれども彼がいいのは、ハードボイルドでも近年の長編でもなく、「夏のエンジン」や「東京カウボーイ」の傑(ジェイ)連作短篇だと思う。ぼくもこれを最近発見した(読んでる?)好きだなー「夏のエンジン」についてはぼくのブログでふれたが、いつか矢作vs村上春樹論(笑)を書いてみたい。

>warmgunさん矢作俊彦は読んだことないです。でも日本のハードボイルドといったら必ず名前がでますね。それと並んで、今だと村上春樹ですか?知らないうちにハードボイルドの人として評価されてるらしい?話違いますが、柄谷、見田、竹田あたりは読んだことあります。見田が保守的というのはなんとなく・・・私のイメージは育ちの良さそうな感じ(笑)柄谷は天の邪鬼っぷりが痛快で、大好きで、今も手元に20冊以上あるのすが、だんだん書いていることが難しくなりついていけなくなりました。今読んだら1ページで挫折しそうです(笑)・・・あ、笑い事じゃないか。

矢作はやっぱり読まれていない!ヒメヒカゲさんほどのひとにも、ひとだから?(笑)矢作vs村上の”文脈”はハードボイルドではありません、日本の戦後文学です(でも逆にハードボイルドというテーマでもいいと今気づいた、春樹にはハードボイルドというタイトルもあった)ひところ、柄谷がOLに売れているというのを聞いたことがあった(笑)実はそのころ、ぼくも彼の本をかなり買ったが、あまり読まないで数年前に売ってしまった。最近文庫で買い直している(笑)たしかに難しい(ぼくにとってもこの手の本は)、結局慣れよね。こういう難しさに慣れて読む価値があるかどうかはまだわかんない。むしろドゥルーズなんかの難しさの方が読む価値あるみたいだけどね。

>warmgunさんさっそく矢作の本を買ってきましたよ。『夏のエンジン』と初期の『リンゴォ・キッドの休日』(←こっちはタイトルがいい。)原りょうとの比較のつもりで、リンゴォのほうから読んでみようかな。柄谷は女性人気高いですね。文体がセクシーなので(笑)。読みながらいつもドキドキしてました。ミステリーの謎解きに近い感じで。ドゥルーズの翻訳などは、私の頭ではもうだめ。ついていけません。

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