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2007年2月

2007年2月26日 (月)

やはり気になる映画賞

まさかのアカデミー作品賞でしたね! 知り合いたちの間での評判も散々だったので、観ないで済ますつもりだったが、たまたまタダ券を回してもらったりしたものだから、昨日観てきました。オリジナルの「インファナル・アフェア」のほうは映画館で一度観たきり。すでに細部の記憶が失われていたのが幸いしたのか、けっこう楽しめました。

「ディパーテッド」(2006年 米)
★★★★

私としては作品賞はぜひ「リトル・ミス・サンシャイン」に獲ってほしかった! でも、この映画もオリジナル未見のアメリカ人には十分に楽しめたんじゃないかと。しょせんアメリカの賞なので、それでいいんじゃないかと思います。娯楽映画の醍醐味は十分にありました。
しかし、メインの俳優たちの顔が、揃いも揃って童顔なものだから、つい笑っちゃう。トニー・レオンの色気と比べるとずいぶん漫画チックだ。と言いつつ、この映画のディカプリオはけっこう好きだ。それを役得というのかも。

最近、映画を観ていても、映画だけじゃなく何をしていてもそうなのだけど、ときどき記憶が飛ぶ。「自分はいま何をしていたんだっけ?」と思うことしょっちゅう。んで、マーク・ウォールバーグはなぜ途中で消えて、再び登場したのか…。消えたシーンの記憶がない! 再登場の経緯は想像はできるけど、あそこは中和剤としての意図が見えすぎると感じた。

さて、「リトル・ミス・サンシャイン」もなかなか健闘し、アカデミー賞では脚本賞と助演男優賞、インディペンデント・スピリット賞のほうは作品賞、監督賞、助演男優賞、BEST FIRST SCREENPLAY賞と圧勝! よかったよかった。
あと「トゥモロー・ワールド」の撮影賞も脚色賞も編集賞とも受賞ならずが残念。

2007年2月25日 (日)

食うか食われるか

昨年話題だった海外ミステリー。友人が貸してくれたので読みました。ポケミスでは珍しいヒットらしく、書店では新たに紙カバーの化粧を施されて平積みされていたのを見かけました。

『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド著/駒月雅子訳
(ハヤカワ・ミステリ 2006年邦訳)

Fi2621430_1e キャサリン、リズ、モナ、キャシー、サラ…女性警官たち話。 ふだんは避けがちな短編小説なのだが、これは短編の並びがうまくて、1編ごとに面白くなっていくのが良かった。それでも、これが昨年のベストミステリーとして売れちゃう理由が??? 自分はミステリー小説好きを自称してるけど、謎解き重視のものはそれほど興味がなく、欠陥のある人間ばかりが登場し、さらに善い人悪い人がはっきりしない、下手したら事件すら解決したんだかしなかったのか分からないタイプのものが好きで、なかでも警察小説には目がない。つまり、この短編集の世界にはけっこうなじみがあるつもり。んで、あえて、これが特別に売れた理由が分からない…。

死体と対面したときの思いや、銃を身に着けていることの違和感など、かつては警官だった著者らしい生々しい表現が個性ではあると思し、真面目に“人間を描いている”ところには好感をもったが、女性警官の話は他にもたくさんあるわけだしね。特にどこか際立って面白いとか、新鮮だとかは感じなかったわけだが。

もし、いつもは男が主人公の小説しか読まない男性が、この短編集を読んで「面白い!」と絶賛していたら、女性は眉に唾つけて聞いたほうがいいかもしれない。
以前、ある児童文学評論家が「女の子は少年漫画も読むが、少女漫画を読む男の子はほとんどいない」という趣旨のことを言っていた。だから、共通の推薦図書を挙げるときも、男の子が主人公のものにしておけば無難だと(今はどうなっているかは知らない)。女性にとっては主人公が異性である小説なんて当たり前で、異性であろうと、人間としてすんなり共感できるものには共感して楽しめるのだが、男性の中にはそういうのに不慣れな人がたくさんいる。と推測している。それゆえに新鮮だったかもしれないのよ、この小説は。

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『復讐』ティム・グリーン著/村上和久訳
(二見文庫 2006年邦訳)

Fi2621430_2e アメリカンフットボールのプロ選手から弁護士に転身し、テレビ番組のホストやコメンテーターとして活躍しながら、ミステリー小説家としてもすでに中堅どころという著者の初翻訳本。

現代版『モンテ・クリスト伯』を目指して書かれたミステリーなので、あらすじは面白くないはずがない。でも、あまり巧みな小説ではないような…。そこはかとなくチープ。

2007年2月20日 (火)

題材は面白いのに。

映画館で観ました。

「墨攻」(中国/日本/香港/韓国)
★★★

日本の小説とコミックを原作にした映画。
小説もコミックも読んでいないうえ、墨家という存在も初めて知った。
しかし、この映画の中で、墨家とはどういう思想をもった集団なのか
掘り下げられるわけではないので、知識のないまま映画としての感想をいえば、
前半は悪くはなかったけど、後半は場面つなぎの粗さばかりが目立ち、
ハラハラする展開もなければ、ワクワクもせず、
物語のすじをただ映像で追っているだけのように思え、だんだん冷めました。
題材はいいということだけは分かるからもったいない。
何か見せ方を間違っている気がする…。
内容がリドリー・スコットの「キングダム・オブ・ヘブン」を思い出させ、
どうしても比べてしまうんだけど、アンディ・ラウのほうがオーランド・ブルームより
面構えがいい(好み)ということ以外に勝るところがなかった。
趙の武将と将棋をする場面や、いかにも中国らしい残酷な刑罰などは面白かったですけど。
一番の難点はヒロイン。ミスキャストでしょ!
こういう映画で舌ったらずなアイドルみたいな女優が出てくると
ほんと、がっかりしちゃうよ。


レンタルで見ました。

「16ブロック」(2006年 米)
★★★★★
「2番目のキス」(2005年 米)
★★★★★

墨攻を観た直後だったので、つい星採点も大甘に(笑)
でも、2作とも良かった! 
最近、シリアスな社会派の映画が目立つのだけど、
この手の、楽しませるツボを実によく心得ている職人監督の手による
決して大作ではない規模の娯楽映画の良さ、楽しさというのを
しみじみ噛みしめてしまった。(ちょっと大げさ)
ストーリーも違和感を感じさせることなく、よく出来てるじゃありませんか。
見終わった後の気分が晴れ晴れ! ←ここ大きなポイント!

いつものブルース・ウィルス、いつものデヴィッド・モース
いつものドリュー・バリモアの役なんだけど、まったく問題なし。
バリモアはいくつになってもチャーミングだなぁ。
たぶん顔がふっくらしているところがいい。
痩せギスのモデルは不健康を煽るとかで話題になっているけども、
ラブコメをやるようなアメリカの若い女優さんも、最近は頬までこけた人が多くて、
ちっともかわいくないぞ。

2007年2月10日 (土)

刑事は生まれ変われるか。

ハリウッド署ハリー・ボッシュ刑事シリーズ第4弾。

『ラスト・コヨーテ』マイクル・コナリー著/古沢嘉通訳
(扶桑社ミステリー 1996年邦訳)

Fi2621428_1e ボッシュ刑事は売春婦の子として生まれ、孤児院で育った。母親はボッシュが10代初めの頃に、路上のゴミ箱の中から絞殺死体となって発見されたが、30年以上たった今も犯人はつかまっていない。本作では、上司への暴力から強制休職処分を受けたボッシュが、その時間を利用して、ずっと心の片隅にあった母親の殺人事件の解明に、警察バッジも拳銃も持たないままで挑む…。

舞台は、大地震からまだ復興しきっていない1994年のロサンゼルス。見晴らしのいい丘の斜面に建つボッシュの家も大きな被害を受け、市から立ち退きと取り壊しを命じられている。そんな状況のなか、ボッシュ刑事が過去の事件を勝手に嗅ぎ回るほどに、直接関係のない人まで巻き込み、新たな不幸が積み重なっていく。
やがてボッシュは、母親が死ななければならなかったのは自分のせい、いや、そもそも自分が生まれてきたこと自体が不幸の源ではなかったかとまで思い悩む・・・と、かなり重い内容ながら、大胆な行動でずんずん事件の真相に迫っていくので、一気に読むしかない!という感じです。

信頼できる同僚も上司もいない状況で、ボッシュの数少ない味方となるのがほとんど女性たちというのが面白いです。過剰に男臭い話にならず、ハードボイルドの雰囲気も損なっていないところがいいです。そして、精神分析医なんてのが重要な役で登場するのに、トラウマとかなんとかいう安易な診断を持ち出したりしないところがいい。行きずりの恋もあって、ここはちょっと無理やりかなと思ったが、後できちんと互いに引かれ合った理由らしきものが明かされて納得しちゃったし。

希望の見える終わり方でほっとしたが、次が気になる! 刑事としての人生も、ロサンゼルスからも、これでおさらば???


ところで、前から気になっているのだが、翻訳者さんのこだわりだろうか。「おおきい」「ちいさい」「すくない」など、普通は漢字で書くところが平仮名になっているので、いつも読み始めに戸惑うのです。

2007年2月 8日 (木)

5年ぶりのドメスティックミステリー

文芸作品をもじった駄洒落のようなタイトルが毎回付けられている
主婦探偵シリーズの第9弾。

『飛ぶのがフライ』ジル・チャーチル著/浅羽莢子訳
(創元推理文庫 2007年邦訳)

Fi2621427_1e 最近友人から「デスパレートの妻たち」の第1シーズンの録画を借り、ちんたら見ているのだが(今ようやく3分の2くらい)、このミステリー小説シリーズも、住宅街で起きるスキャンダラスな事件、随所に散りばめられた主婦たちの本音で毎度楽しませてくれる。主人公のジェーンは3人の子供を育てる未亡人。夫は交通事故で亡くなったのだが、実はジェーンたちを捨てて愛人のもとに行く途中の出来事だったというのは、シリーズ第1巻のネタばれです・・・すみません。でも、その設定が気に入って、欠かさず読むようになったのだ。

前作から5年ぶりの邦訳となった本作は、ジェーンが隣人で親友のシェリイとともに保護者代表として、サマーキャンプの候補地に下見に行き、そこで起きる殺人事件に巻き込まれるというもの。ジェーンの子供たちも、仲のいいハンサムな刑事も登場せず、番外編といった雰囲気で、面白さはいまいち。5年の間に自分の嗜好が変化したせいもあるかもしれません。

シリーズをずっと手掛けてきた翻訳家の方が、この本を仕上げている途中で亡くなられたそう。翻訳されても原作の軽妙さが失われていないのが魅力だったのに。

2007年2月 1日 (木)

ポチの品格

テレビドラマ「ハケンの品格」は、多分にキナ臭いと言いつつ、
それゆえに気になるってのもあって、気付けば毎週見てしまっている。

タイトルずばり、これは派遣に派遣としての生き方を諭すドラマだ。
複数の派遣会社・資格取得学校が番組スポンサーに加わっていて、
これまでのところ、派遣の負の部分は、派遣社員個人の努力不足ってことで
すべて片付けられている。いや恐ろしい。
バランスを取るように描かれる派遣と正社員の対立も子供の喧嘩を見ているよう。
もはや、正社員男性と派遣女性の恋の行方が気になる人のみが楽しめる
ドラマにすぎなくなっている。
それと、企業にとっての都合のいい派遣=忠犬ポチのような従順さを、
残酷にも笑いながら楽しめてしまう人向け。

このドラマで、最初に連想したのが『アンクル・トムの小屋』だった。
誰もが知っている児童書(少なくとも私が子供の頃は)だが、
本国アメリカでは、南部での黒人奴隷の実状を北部の人たちに気付かせ、
南北戦争の導火線になった小説だ。
しかし、のちにブラック・ナショナリズムが台頭してくると、
「あいつはアンクル・トムだ」というように、アンクル・トムといえば黒人たちの間では、
白人に媚を売ったりして卑屈な態度を取る同胞への蔑称として使われる。
最近でもライス国務長官が“アンクル・トムの娘”などと揶揄されている。

派遣にもいろいろな派遣があり、制度として良い面はあるのかもしれない。
派遣のすべてが不当な扱いを受けていると言い切る気もないのだが、
社員になりたくてもなれず派遣をやっている人の急増、
実務経験がまったくない人でも派遣になれてしまうという現状は、
一つの被差別階層を生み出していると考えて間違いない。
派遣からの正社員登用がごく当たり前になれば、また違った先が見えてくるだろうが、
今の段階では大勢の派遣に頼って収益を上げている大企業が、世間の非難を避けるために、
そういう制度を形だけ設けているにすぎないのではないかと穿ちたくなる。

『アンクル・トムの小屋』は読む人の意識によって毒にも薬にもなった例かと思うが、
「ハケンの品格」に、それと同じ作用を期待しても無駄のようだ。
いくらコメディ要素でごまかしても、ストーリーは八方美人なご機嫌取りに
苦心しているのはみえみえで、うまくまとめられず矛盾だらけ。
回を追うごとに、スーパー派遣というありえない設定を利用した、ドラマ作りの
杜撰さばかりが目立ってきて、もうあとは最終回だけを見て、
このドラマがいかに空疎な内容だったかを確認すれば十分だと思う。

ありえない設定と言えば、主人公の派遣社員が時給3000円だか3500円だかを
もらっているというので注目を集めているようだが、
それは派遣先の企業が派遣会社に払っている金額で、
主人公の収入は、仲介料を差し引かれて、せいぜい時給2000円くらいと思われる。
主人公は“ポチの品格”を備えた派遣のお手本のような人物なので、
「私が実際もらっているのは2000円です!」などと
かなり多めに中間搾取している派遣会社に迷惑がかかりそうな弁明をしないのは当然なのだ。

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