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2007年1月27日 (土)

狼頭の十字架

出たー! レジナルド・ヒル久々のシリーズ外ミステリー翻訳。

『異人館』レジナルド・ヒル著/松下祥子訳
(ハヤカワ・ミステリ 2007年邦訳)

Fi2621425_1e イングランド北西部の小村に、偶然同じ時期に訪れた若い男女。女はオーストラリア人で、今はケンブリッジで数学を学ぶサム。この村の出身らしい祖母の生い立ちを調べにやって来た。男はスペイン人で、歴史学者のミゲル。16世紀に起きたカトリック教徒迫害について調べている。過去を掘り返そうとするよそ者2人に対し、村人たちの反応はどこか謎めいている…。

舞台となるイルスウェイト(架空の村)は、北欧から来たヴァイキングが定住した村であり、何百年にわたって同じ家系による秩序が保たれている。そして、イル(悪い)という名前からして何やら不吉なものを感じさせる。物怖じしない女性数学者と、一度は司祭を目指したこともあった少し奥手の歴史学者が互いの推理を補完しあって、この閉鎖的な村での過去のおどろおどろしそうな出来事を暴き出すという趣向に、ワクワクしないわけない!
しかし、実際に数学や歴史の知識が推理に役立てられるかというと、そういう話にはなかなか至らないわけで、本格的な謎解きを期待して読んだ人は拍子抜けかもね。ミゲルは歴史学者というよりは霊媒師だし(笑)。

でも、どいつも胡散臭そうに思えた村人たちの本当の姿が明かされる後半のユーモアも交えた展開が、いかにも人を食ったような話の得意なヒルらしくて、ヒル好きの私としては満足! 出会いの運命の謎が明かされる最後の章も鮮やか!

それにしても、1960年代というほんの半世紀前に、約15万人ものイギリスの孤児や貧困層の子供たちが、キリスト教会などもかかわって半ば強制的にオーストラリアへ船で送られていた事実は衝撃的でした。名目は養子だったが、実質は性的虐待や違法な労働力確保のためだったらしい。マーガレット・ハンフリーズという一人のソーシャルワーカーが1994年に暴露本を出すまで、イギリス人ですらほとんど知らなかった事実だという。それもまた驚き。

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