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2006年12月10日 (日)

日本のアウトローの歴史

面白かったです、教科書では触れられない日本史。これを先に読んでたら時代劇ドラマの「暴れん坊将軍」の見方も少し変わってたかもしれない(笑)。

『やくざと日本人』猪野健治著
(筑摩文庫 1973年初版)

Fi2621411_1e 戦国末期のカブキ者や侠客の登場から、本の改訂時に補足された平成の暴力団対策法の施行まで、約500年に及ぶやくざの歴史と、時の権力者・体制側との密接なかかわりを綴った本。知り合いに父親が極道で、自分は以前はテキヤをやっていたという人がいて、やくざなの?と聞いたら、やくざは蔑称だから極道と言えと冗談なんだか真剣なんだか諭されて気になって読んでみた。
ちなみに、一時はテキヤすべてがやくざに分類され、私もてっきりやくざ直属かと思ってましたけど、そうではないようです。

親分子分の強固な絆を特徴とする任侠やくざのルーツは、江戸時代の町火消しや定火消し(臥煙)という説には説得力があります。あと、日本の政治との表裏一体のかかわりも、こういうふうに歴史を追って説明されると、なるほどなと思います。日本には西洋の民主主義とは相容れないものが綿々と受け継がれている感じ。

政界にまで進出したある親分のエピソードのところに<「思想やイデオロギーではなく、心情的共感によってしか人間関係を結ばない刺客型日本人の側面をよく表している」という文章が出てくるのだけど、これってやくざに限らず日本人そのものではないかという気がする。建設業界などの談合体質や下請け・孫請けの仕組みは、やくざ的精神ややくざ組織の構造と今もまったく変わりなさそうだし、心情的共感なんて言っているのは利用されるほうだけで、利用するほうは昔から自分に有利かどうかがすべてじゃないのかな?

日本のやくざは、完全な利潤追求団体である西洋のギャング組織と異なり、義理人情に絡んだ無報酬の仕事も数多くやってきたし、今もその伝統が残っている。しかし、警察によるやくざ追及が合法的企業にまで達すれば、彼らは欧米ギャング並みのシンジケートに転化するだろう……。と、著者は1973年の時点で書いているのだけれども、確かに500年もの歴史があって日本社会に深く根を下ろしてきた問題を、特定の暴力団の行為を禁止するだけで簡単に解決できるとは普通に思えないわけで、代わりに中国などの海外マフィアが浸透してきているという噂はよく聞くし、昨今、儲けのためなら平然とモラルに反したことをする一般企業が目立つのも、日本のヤミ世界の急激な構造変化と何やら関係があるのではないかという気がします。

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