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2006年12月 2日 (土)

空母みたいな孤島。

仕事がやってもやっても途切れないー! 休日にスーパーで生鮮食品を買っても結局は腐らせるだけなので、しばらくは朝・昼・晩とも食事はコンビニです! ブログも滞ってて、忘れないうちにさくっとメモっておこうと思います。2週間前に観た映画。いつもどおりネタばれを含む。

「父親たちの星条旗」(2006年 米)
★★★★☆

整然と列を作って硫黄島に向かう途中の軍艦から、若いアメリカ兵の一人が誤って海に落ちる。甲板にいる仲間の兵士たちは、最初は笑って見ているが、たった一人の兵士を救出するために整列を乱してまで船が停止することはないと気づくと、一転して沈鬱な空気となる…。まだ幼さも残るアメリカ兵たちのその後を暗示するシーンで、この時点で彼らには同じ人間として当然の同情を覚える。
でも次に、アメリカの軍艦にぎっしりと取り囲まれた硫黄島がスクリーンに映し出されると(実際のロケ場所はヨーロッパのどこからしいが)、なんともいえない複雑な気持ちになるんです、これが。日本人として「やめてくれー! 来るな! 近寄るな!」という思い。戦争映画を観て、こんなふうに感じたのは正直初めてかも。映画館で観なかったら、この微妙な感情が引き出されることはまずなかっただろう。

硫黄島での戦いを日米両方の視点から描く硫黄島2部作の、この1作目では、日本人兵士の姿はほとんど描かれない、つまり「敵が見えない」のだけど、それは映画のテーマを明確にするうえで効果的だったと思う。

兵士に志願し、戦場に向かった理由はさまざまだろうが、結果的には「ぼくたちは仲間のために戦ったんだ」というモノローグへと繋がる。戦場の仲間たちを思うと、一緒に戦い続けるしかなかったんだと。1枚の写真から、戦争の資金集めのための広告塔として英雄に祭り上げられてしまう主人公の兵士たちは、英雄扱いに戸惑い、仲間が次々に死んでいく実際の戦地では、英雄もくそもあるものかという思いをだんだんに強くするが、しかし、息子を亡くした遺族に対しては「あなたの息子は英雄だった」と伝える。国家が「戦争で亡くなった兵士たちこそ英雄」と言うと胡散臭いものがあるが、個人レベルでのそれは優しさ。でも、実際はそんなに単純でもなく、地獄の戦地を経験した者がこの言葉を口にするときの気持ちは、経験のない者には想像が及ばぬほど複雑なものなのだろうと感じました。

監督がクリント・イーストウッド、脚本がポール・ハギスという組み合わせは「ミリオンダラー・ベイビー」と一緒で、どっちの映画も私にはちょっとばかり爺くさく、上品すぎるところがあるのだけど、ミリオンダラーよりはこっちのほうが面白かったです。

出演者の中にジェイミー・ベルやポール・ウォーカーがいたことは、映画を見ているときには気付かず、後で知った。時系列が入り組んだ映画なので、兵士の名前とそれをどの人が演じているのかを理解するまでにかなりの時間がかかったのが、少しもどかしかった。バリー・ペッパーはもっと見どころがあってもよかったのにと感じたけど、バリー・ペッパーをかっこいい英雄に見せてしまうと、この映画の趣旨がまた違ったものになってしまうので、あれで良かったんだろうね。
ライアン・フィリップ、アダム・ビーチ、ジェシー・ブラッドフォードが演じる3人の兵士は、キャラクターの違いがはっきりしているし演技も悪くないのに、なぜか見終わった後の印象がそれぞれ薄い。これも意図してのことか、それともイーストウッド監督のカラーかな。

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コメント

本映画はまだ観てませんが、イーストウッドってかなり内省的ですよね。「ミリオン・ダラー・・・」も結局主人公と爺さんコーチしかこの世に存在してないような「重さ」。しかし、この角度で人生描かれるのも胸に迫ってくる物があるなあと思います。

>k.m.joeさん老域に入ると内省的になるというのは分かる気がしますね。余計なものが削ぎ落ちて。その世界に、ハマる人はどーんとハマるのではないかと思います。

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