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2006年10月 1日 (日)

巡査は慌てて本を尻の下に隠した。

『花崗岩の街』スチュアート・マクブライド著/北野寿美枝訳
(ハヤカワ・ミステリ 2006年邦訳)

Fi2621372_1e 舞台はエジンバラ、グラスゴーに次ぐスコットランド第三の都市アバディーン。凶悪犯に腹をめった刺しにされて1年間休職していたローガン・マクレイ部長刑事が復帰早々かかわることになったのは、土砂降りの冷たい雨の中、水路で発見された幼児の死体。そして、これがきっかけのように、街では幼児の行方不明事件が立て続けに起きる。さらに、何者かによって警察の情報が常に新聞記者に筒抜けになってしまうことで、捜査は一層混迷する…。

イアン・ランキンの好敵手あらわる(?)のキャッチに引かれて読んだ。正確には「ランキンの」ではなく、ランキンが創り上げたエジンバラの名物警部「ジョン・リーバスの」好敵手となるべく創造された主人公が活躍する警察サスペンスかな?
著者自身がリーバス・シリーズを大いに意識しているようで、捜査が行き詰まると「ロウジアン&ボーダーズ警察本部(リーバスのいるエジンバラ)から応援の申し出があった」と上司がハッパをかけたり、入院中の容疑者を見張る巡査が、暇を持てあましてランキンの警察ヒーロー小説を読みふけっている、などの描写にはニヤリとさせられる。

しかし、死因は明らかに○○だろうと簡単に想像がついてしまう事件も、マクレイ部長刑事をはじめ、検死医ですらそれに思い至っていなかったり、怪しい人物をまったく証拠不足のまま容疑者と決めつけたりと、優秀な警察とはほど遠い話の展開には、ところどころでイラっとさせられた。また、ジョークなどのセンスは、リーバス・シリーズとは毛色が違う。リーバスの吐くジョークのほうがはるかにキレがある。

といっても、こうした文句は、大の贔屓のリーバス・シリーズとつい対比しながら読んでしまったゆえであって、作家はまだ新人であるし、これはこれで今後、読み応えがあって魅力的なシリーズに成長しそうな予感。特に上司のインスク警部が、禁煙の口寂しさを紛らわすためか、いつもグミやらキャンディやらをポケットに忍ばせ、むしゃむしゃ食べている描写が可笑しかった。こういうユーモアを多用したらもっと面白そう。

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