私家版・元気になる音 その31
サモアをルーツとし「あの小錦の従兄弟も在籍する巨漢揃いバンド」との、ある種キワモノ的キャッチコピーに名前負けすることなく、中身の音楽的完成度もかなり高かったブー・ヤー・トライブのデビューアルバム『ニュー・ファンキー・ネイション』からの曲。
Boo-Yaa-T.R.I.B.E.の“Rated R”
1990年発表のアルバムということは、もう16年も前ではないの!
久々に聴いてみたら、やっぱり良かった。マザーファッカーと繰り返し叫び、人種差別者に喧嘩をふっかける曲を元気が出る曲に選ぶ私はどうかと思うけれども、デブ揃いならではの重量級ヒップホップ・ファンクにしびれる!
サウンドもラップボーカルも、地を這い、何かを引きずるように重くて、さらにキレもあるから、かっこいいんだ。他の曲も全部ね。走っている象がチーターのようなすばしっこさで急カーブを切ったときのワンテンポおいてやってくる風圧と振動を想像してみてください。・・・んー、なにか違うな、この例えは。
とにかく巨体から生じる迫力あるタメと、シンコペするリズムの相乗効果の素晴らしさを言いたいんですよ! ラップの声質自体に味わいがあって、詞が分からなくても、メロディやリズムを奏でる楽器の一種として聴けてしまうというのは巨漢ラッパーの強みかなとも思います。
そして曲アレンジのポップさが、さらに彼らをお気に入りに押し上げました。エレクトリック・マイルスを元ネタにした曲なんかがあるのも憎い。ストリート・ギャング出身らしいふてぶてしさやジャケットから感じ取れるおとぼけ感もステキだ。特にラップに興味はなくても、Pファンク系の音楽が好きなら、その期待に十分応える1枚かと思います。ほんとに楽めるファンク曲揃いですからっ。
少数民族の誇りがバックボーンにあるやつらは、ビッグセールスを記録しないからといって簡単には解散しないし、根強い固定ファンもついていそうだよね。あくまで推測だけど。調べてみると、ブー・ヤー・トライブはメンバーは6人から4人に減り、サウンドは時代に応じてメタル・ロック風一辺倒に変化しているが、今も現役で、地元ロサンゼルスを中心に活躍しているようだ。
ちなみに小錦の従兄弟というのは、彼らがメジャーデビュー前にヒップホップのダンスチームとして大阪に出稼ぎに来ていたときに名乗っていたらしいので、本当のところは分かりません。
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