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2006年7月28日 (金)

「また俺をスパイしていたのか?」

どうやら当分は文庫化されそうにないので単行本を古本で購入。ジョン・リーバス警部シリーズの14作目の本書と、最新の15作目はなぜかポケミスではなくて単行本での刊行なのだ。


『血に問えば』イアン・ランキン著
(早川書房 2004年邦訳)


Fi2621351_1e_2 クラーク部長刑事にしつこく付きまとい嫌がらせをしていた犯罪歴のある男が、自宅で焼け死ぬ。同じ夜、リーバス警部が両手に大火傷を負い、病院で手当を受けたことから、一部から密かに疑いの目を向けられる。一方、エジンバラ市郊外の街で、私立学校に男が押し入り銃を乱射。男子学生2名の命を奪い、1名を負傷させた後で、自らのこめかみを打ち抜き自殺した。男はかつて英国陸軍特殊部隊に所属していたため、同じ経歴をもつリーバス警部が、男の動機を調べるために駆り出される…。


1996年にスコットランドの小学校で実際に起きた児童・教師17名死亡の銃乱射事件をヒントに書かれた作品だそう。軍隊は人を殺す訓練をするだけで、民間人に戻る前にそれを白紙に戻す作業は何もやらない。銃乱射男の動機は、その後遺症として片付けようとする精神病院の医師に、元軍人のリーバスとしては頷くわけにはいかない。優秀なゆえに特殊任務班に選ばれ、過酷な洗脳に耐えられずノイローゼとなって除隊したリーバスだから、なおのこと。
本当の動機は、事件の真相は・・・
かなり後味が悪いものだった。
そして、衝撃的な結果なのに、ちっとも意外には思わなかった。現実の最近の日本で、同じような理解できない動機による事件がいっぱい起きているから、こういう結末もありだなと、悲しいことに途中で予想もついてしまう。


といっても、このシリーズが面白いことに変わりはない。今回はリーバス警部と、愛弟子ともいえるクラーク部長刑事がペアを組んで動く場面が多く、息の合ったやりとりが楽しい。しかし、親子ほども年が違う二人とはいえ、お互いのことをこれほど理解していて単なる同僚でいるのは難しくないだろうか?
二人とも大好きなキャラなのだが、性格が似すぎていて、その先の先が心配だ。このまま二人とも一匹狼的立場でいてほしいな。

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