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2006年7月16日 (日)

ぶっとんでます。

嫌われ松子を観るつもりだったのだが、今さら前売りはどこももう売り切れていて、こっちに変更。
少しネタバレ。

「ローズ・イン・タイドランド」(2005年 イギリス/カナダ)
★★★★★

Fi2621347_1e 子供にここまで演じさせるとは、とんでもない映画だ!予告を観て想像していたより、はるかにダークなファンタジーだった。でも、好きです。あまりに無垢な少女の世界観に心揺さぶられる。テリー・ギリアム監督が、「不思議の国のアリス」をモチーフとしたミッチ・カリンの異色ファンタジー小説を映像化した作品。


ファンタジーといっても、ストーリーは孤独な少女ジェライザ=ローズの現実を描いている。自分の欲望のままに生きるドラッグ中毒の両親のもとで、学校にも通わずに育った少女を待ちかまえる運命は、普通の生活を送っている人間の目にはあまりに孤独で不幸に見えるが、そもそもこの少女の頭の中には「孤独」や「不幸」の概念がないのでは?と考えると、単に可哀想な子供の話と解釈するのは的はずれに思える。


草原にポツンとたたずむ壊れかけの一軒家に引っ越し、外界とは隔たった環境で、指にはめたバービー人形の首をお供に、冒険ごっこなどをしながら遊ぶローズには、自分の空想が世界のすべてだ。
そのローズの前にやがて現れる隣家の姉弟は、どこか変わっている。(少女とかかわる人間は、両親をはじめ一般常識から外れた人たちばかりだ。)普通の人間なら、恐怖や嫌悪感を覚えるような人物たちなのだが、自分の空想世界しか知らない少女は、その新しく出会った隣人たちもすんなりと自分の世界の住人として受け入れる。というか、新しい友達と会えたことがとっても嬉しそうなのだ。自分が創り上げたバービー人形の人格とは異なる他者、生身の人間との交流。
そのときのローズの笑い声ときたら、あまりに無邪気で楽しそうなので、心が洗われるような感覚にとらわれるとともに、孤独という現実も一層ひしひしと伝わってきて、痛いくらいなのだが、他人との交流が、少女の空想世界を崩壊させていくと思いきや、そうでもない。強いよこの子は。


少女の無垢な気持ちに揺るぎはなく、一般には恐ろしいこと、グロテスクなこともごく当たり前のことのように消化して、やがて危なっかしい恋のようなものまで「ままごと遊び」の延長のように楽しんでしまうのだ…。
いや、ままごとに見えることも、少女には現実か? 空想遊びと現実の境目は、大人だってはっきり自覚しているとは言い難い。これはこれで、一つのまっとうなラブストーリーであると思う。なので、ラストはホッとする部分でありながら、少し悲しくもなった。


ローズが生まれながらのジャンキーに見えるシーンもあったけど、これは監督のカラーだろうし、子供ってハイなときはとてつもなくハイだからね…。主人公のジェライザ=ローズを演じるジョデル・フェルランドが文句なくかわいい。ずっと出ずっぱりでセリフが多く、かつ難しい役どころだと思うのだけど、どういうふうに解釈して演じたのかな。天才子役なら、凡人の考えることなど軽く超越した解釈をしているんだろうけど。

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コメント

テリー・ギリアムね。わりと最近、ムービーチャンネルかなんかでこの人がドン・キホーテを撮ろうとしてスペイン・ロケで不運に見舞われ続けるというドキュメントをみた。ジョニー・ディップが出ていたんだがこの映画、結局完成しなかったんだろう。それでも、そのドキュメント出すんだからしたたかね。ぼくはこの人のこと詳しくないが、こういうひとが生き残って、スピルバーグ等がいかに幼稚かを見せつけてほしい。この映画見てみたい(ぼくは真性ロリコンだからね)

私は見てませんが、ロスト・イン・ラマンチャでしたっけ。ブラックなコメディ出身の監督らしいです。ローズ・イン・タイドランドは主人公の女の子の一人遊びシーンが多いので、退屈かもしれませんが、でも真性ロリコン?なら大丈夫でしょうか(笑)ただのグロ映画、ホラー映画と解釈するむきもあるようですが、ある種の常識や先入観のばかばかしさを思い出させてくれて、いい映画だと思いましたよ。

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