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2006年7月22日 (土)

ああ牧師様、馬鈴薯でそんなことを…

推理小説というよりは歴史冒険ファンタジー?

『ジョン・ランプリエールの辞書』ローレンス・ノーフォーク著
(創元推理文庫 2006年)


Fi2621349_1e_2 18世紀、ジャージー島。ジョンが想いを寄せる美しい子爵家令嬢の水浴姿を見てしまった父が、猟犬にズタズタに噛み殺される。それは、彼が直前に読んだギリシア神話の物語をなぞるかのような光景であった。神経症を疑う彼は、医師に療法として勧められた固有名詞辞書の執筆を始める。だが、またしてもギリシア神話をなぞる惨劇に遭遇することに…。
サマセット・モーム賞受賞作。


文庫裏表紙の内容紹介文をそのままコピーしてしまった。手抜き…。帯には「驚異の大バロック歴史小説」とか「エーコ+ピンチョン+ディケンズ+007」という、ご大層とも思える謳い文句が並んでる。とにかく分厚い本だ。饒舌な小説。邦訳が出たのは2000年で、その単行本値段が5250円ですよ!いったいどれだけの人が買って読んだんだろ? おまけに固有名詞がわんさか出てくる。読み終えるのにヒーヒー言ってしまった。


ジョン・ランプリエールという、18世紀後半に『古典籍固有名詞辞典』を執筆編集した実在の人物を主人公に仕立て、ギリシャ・ローマ神話から東インド会社の貿易、フランスのユグノー弾圧史、さらに……という歴史上の大事件までを題材に、ロンドンの地下に横たわる巨大な恐竜の化石やらSFチックな人造人間やらロボトミー手術らしきものまで登場させて、かなり強引な力わざで一つの物語に仕上げてある。
ど近眼のためにメガネをかけ、いつも何かにつまづいて転んでばかりのちょっと頼りない文学バカ青年のジョンと、子爵家令嬢ジュリエットの恋の行方が気になって、何とか最後まで読み終わったけど、せめて頻繁に引用されるギリシャ・ローマ神話の神々の名前は知っているくらいの基礎知識がないと、きついー。


あと、視点がくるくる変わる構成によって、文中の三人称が誰を指すか理解するまでに少し時間がかかったり。この点は、著者が未熟?と思えたりもしたのだが、膨大な歴史的知識をもとに、これだけ大風呂敷の、とりとめのない妄想のような話を一応は筋の通ったミステリーとして完結させる意欲、体力はすごいです。

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