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2006年5月 5日 (金)

悪魔と取り引きしたツケは重い。

ジョン・リーバス警部シリーズ13作目。

『甦る男』イアン・ランキン著
(ハヤカワ・ミステリ 2003年邦訳)


Fi2532084_0e 冒頭、なぜか警察官再教育施設に放り込まれているリーバス警部。捜査会議で上司のジル・テンプラーにマグカップを投げつけたことが原因らしい。その行いはあまりリーバスらしくないなと思ったら、案の定、別の署の刑事の不正を内密に調査するために、本部長から直々の依頼を受けて計画された行為だった…。


一緒に再教育施設に集められた不良刑事はリーバスを含め6人。この中に問題の刑事がいて、最後はリーバスがその不正の証拠を見つけだし、めでたしめでたし・・・てな単純な話で終わらないのがランキン! 再教育施設で教官から課題として出された未解決事件というのが、リーバス自身が過去に携わり後ろ暗く感じている事件で、不正を調査されているのはどっちなのか?という展開になるんだな。

一方で、セント・レナーズ署では、このシリーズのもう一人の主役に成長したシボーン・クラーク部長刑事(刑事から部長刑事に出世)が、美術商殺し事件に取り組む。その捜査方法はますますリーバスに似てきたけれど、男性の同僚たちのやりとりにはそれなりに気を遣わざるを得ない。事件の調査で協力を依頼した別署の担当者が、たまたま同じ女性の部長刑事だったときの安堵感、同志を見つけたみたいなウキウキ感は、読んでいてこっちまで楽しくなったよ。

シリーズのもう一人のキーマンは、エジンバラの陰の大ボス、ビッグ・ジェル・カファティ。今回もいろんな事件の背景に、カファティの存在がちらつく。リーバスとカファティの最終対決の日は来るのかな?

この作品でイアン・ランキンは2004年のMWA最優秀長編賞も受賞している。桐野夏生が『OUT』で最終候補にまで残った同じ年の、同じカテゴリーになるのかな。あとがきによると、ランキンの小説はイギリスではスティーヴン・キングやジョン・グリシャムの作品よりよく売れているという。本当に読み応えがあって面白い。でもこんな小説がベストセラーになるのはイギリスならではだろうとも思う。
未邦訳だったリーバス・シリーズの1巻から6巻までは、昨年から文庫での刊行が始まっており、先月2巻目の『影と陰』が発売されたばかり。

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