« 私家版・魅惑のエロヴォイス その19 | トップページ | 妖精がくれたマント »

2006年2月10日 (金)

今日は俺の死ぬ日じゃない。

『俺たちの日』ジョージ・P・ペレケーノス著
(ハヤカワ文庫 1998年邦訳)

Fi2300535_0e ピート・カラスはワシントンDCで生まれ育ったギリシャ系移民二世。第二次世界大戦ではレイテ島から奇跡的に生還するが、定職には就かず、幼なじみであるイタリア系のジョー・レセボとともに、地元ギャングの手下となり、借金の取り立て屋として生活している。しかし、非情にはなりきれないピートは、ボスの怒りを買い、見せしめとして身体に一生治らない傷を負わされてしまう…。


読んだ後にしばらく浸っていたい余韻が残る本はいいものだ! 子供の頃は一緒に遊び、やがて大人となってそれぞれ違う道を歩み、ときに敵対もせざるを得ない関係に立たされる移民系の男たちの話。原題は「The Big Blowdown」なのだが、それを「俺たちの日」と邦訳したセンスはなかなかと思う。

前に抒情的ミステリーは苦手だと書いたけど撤回。考えてみればハードボイルド小説もその部類に入るわけで、要は自分にしっくりくるものは大好きで、しっくりこないものは好きじゃない。その両極端に分かれるというだけ。単純に生理的な理由なのかも。初めて読んだペレケーノスは、さっそく好きな作家リスト入り。

主人公のピート・カラスがえらくかっこいいじゃん。ハンサムというだけじゃダメで、身体にハンディキャップを背負って生きているからゆえのセクシーさというやつ。ピートが働く食堂の店主や従業員、幼なじみたち、そして妻や愛人といった周りの人々も皆それぞれ深い印象となって残る。設定が1940年代というのもあって、最初はエルロイ風かと思ったけど、はるかに救いのある、人情味のある内容でほっとした。

あと、ジャズや映画などの時代ネタの使い方が憎らしいほど巧い。ピートが子供のときに一度だけ喧嘩をした黒人少年ジュニアとの再会シーンに流れるチャーリー・パーカーなんて、もうゾクゾクするほどかっこいいす。ぜひ他の作品も読まなくちゃだわ。


« 私家版・魅惑のエロヴォイス その19 | トップページ | 妖精がくれたマント »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

邦題のセンスって重要ですよねなんじゃこりゃーってものからうむうむとうならされるものまで・・・私の中でのベストはヘミングウェイの『誰がため』ですね文学のかほりプンプンですわ逆にワーストは・・・なんだろう??考えてみます

>joshuatreeさん本も映画もタイトルがいいと、気になりますね。『俺たちの日』はなんでもないようだけど、読み終えて、なるほどーと思いました。『誰がために鐘は鳴る』でしたっけ? これはもういろいろに言い換えたりして使われるほど、定着しているからやはりいいタイトルなんでしょうね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1175528/28622472

この記事へのトラックバック一覧です: 今日は俺の死ぬ日じゃない。:

« 私家版・魅惑のエロヴォイス その19 | トップページ | 妖精がくれたマント »

インデックス

無料ブログはココログ