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2005年11月27日 (日)

イスラムづいちゃってるもので。

イラン映画2本。

「桜桃の味」(1997年 イラン)
★★★★★
自殺を決意した中年男が、車を運転して道すがら手助けしてくれそうな人を探す。彼が声をかけるのはクルド人の若い兵士、アフガニスタン人の神学生、トルコ人の老人…。砂ぼこりだらけの不毛の山道を走る車と、その車を運転する男の横顔をとらえた無言のシーンがやたら長く、最初は退屈な映画かと思った。男が自殺したがる理由は明かされないし、自分自身は自殺など考えたこともないから、男に共鳴のしようもない。しかし次第に、男がどこで自殺を思いとどまるか気になって、その心境の変化を見逃すまいと見入ってしまった。
ところどころに散りばめられたエピソードがとてもいい。そして、トルコ人老人のあの言葉! ものすごく心揺さぶられてしまったよ。なんて素晴らしい言葉を繰り出すのだろう。ラストシーンも衝撃的だった。少し古いヨーロッパ映画によくあるシュールな映像。一瞬キツネにつままれた気分。でも、あのラスト以外の思いつく範囲の結末だったら、逆に受け入れがたかったかも。老人の言葉が最後に再び脳裏によみがえる。
アッバス・キアロスタミ監督作品、他のも見てみたいけど近所のレンタル店にはなさそうだ・・・。

「太陽は、ぼくの瞳」(1999年 イラン)
★★★★
「運動靴と赤い金魚」のマジッド・マジディ監督作品。盲目のために家族から離れて特殊学級に通わされてる男の子が、学校が長期休みになって田舎に帰らせられるが、再婚を控えた父親は彼に冷たい…。決して生活が楽そうに見えない父親には父親の葛藤があるのだろうけど、単に自分勝手にも思え、むごい話だった。イスラム教においては目が見えないことはハンディではなく、むしろ神を身近に感じられるんだと、盲目の大工の男性に慰められても、まだ親の愛を必要とする小さな少年には酷な話だ。
しかし、そんな寒々としたストーリーとは対照的に、緑濃い山里の自然が素晴らしく、とても美しい映像の映画だった。少年の心を和ませるさまざまな鳥の声(父親には恐怖や不安をかき立てる音に聞こえる)や、少年の祖母と姉たちが色とりどりの花を摘み、その花びらを釜で煮て糸を染めるシーンなどが印象的だった。原題は「THE COLOUR OF PARADISE」。まさに宗教画に描かれる楽園のような風景。ラストシーンは「汚れなき悪戯」をちらっと思い出した。

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コメント

「桜桃の味」は、僕も大好きな映画です。坦々とした台詞の応酬ばかりなのに、ぐいぐいと惹き込まれました。キアロスタミの映画は、他の作品も秀逸ですが、この作品は、群を抜いて素晴らしいですね。

>栗坊さんシンプルな映画なのに、いろんな感情を呼び起こされました。計算されつくしてる感じですね。他の作品も見たんですか。いいなー。新宿か渋谷のツタヤにでもいかないとだめみたいです。

映画観まくってますね。それもけっこうオトナなものばかり。シネスイッチの松竹特集、行かねば…と思ってるうちに10日経過してしまった。やっぱり銀座は遠いよお。ま、そっちはあきらめるとしてそのうちお茶でもしませんか。健康/老化問題に関する耳より情報をアナタに是非お伝えしたい!といってもあやしいもんじゃありませんよ(笑)。

>やまやましーさんシネスイッチ、どうなったのかと気にはしてたけど、忙しいのかなと・・。連絡しなくてごめんなさい。働いてないと時間の感覚もマヒする。耳より情報って何だろ(笑)。お茶はいつでも。ハロワに講習受けにいく以外はフリーですので。映画は1日1本くらいで、そんなに見まくってるわけじゃないですよ。ほとんど何もしていないのに1日、そして1週間、1カ月が過ぎる。不思議。

私はこのネタでなぜ桜桃の味?というズバリタイトル追求への興味だけで見ました。だって、自殺幇助頼む人って、最初っから迷ってるわけだし、結局このラスト。はい、付き合いましたよ!って感じ。ヒカさんが衝撃とおっしゃたのが私には衝撃なのですが、もしかして別バージョンとかあるのか?思い留まって立ち上がったとたん崖から転がり落ちるとか?テーマをセリフで言っちゃう映画を私は低く見るけど、あれほどストレートにあのとっつぁまに言われちゃあ!(笑)私は自殺を考えたことない以前に最初っからとっつぁまの側の人間。あんな中年男よりいわゆる“最近の若い子”…いつも惚けた表情しかしてない子たちを見るといつも、おいしもん食べたことないのか?「おいしい」ってことがわからないのか?って疑問に思ってるよ…

>ぱぴよんさん衝撃的という言葉はちょっと違っていたかもしれません。余韻のあるラストで安心したというところかな。ああいうふうにもっていくしかないというのは分かりますよ。自殺を考える人は、子供も大人も関係なく、いろんなことが見えなくなっている状況じゃないかと思うので(私は考えたことがないので、本当のところは分からないけど)、単に美味しいものがあると説得するにしても、あれだけイメージ豊かに伝えるのは難しいのではないかと思います。少なくとも私には効いた。自殺を考えるまでいかなくても、少し鬱な精神状態にも元気を与えてくれる映画だと思いましたよ。

第三諸国の映画は素人さん多いけど、あの老人も通りすがりの人が台本なしでしゃべくってんのかと思った!あのイランorトルコ語?(君はトルクメニスタン[トルコ系]か?とかって言ってたよね?)の飲み込むような語尾のリズムが心地よくて内容は覚えてないの。NHKの旅ものドキュメンタリとかでもよく、陽気な国民性の人々が人生訓をさらっと言ってのけたりするから、あの老人の言ったことがとくに特別なことには思えなかった。でも私が「おいしいもの」と言う時は、「桜桃の味」と同レベルのつもり。あの老人ほどの人生経験やチャングムほどの舌を持っているわけでもないけど、舌に伝わる鮮烈な味覚は作ってくれた人々の愛情を伝えてくれるのでそれに感謝しつつ、その多様性を吟味できる日本人の幸せと個人的な幸福感で、これぞ人生!て思うのよ。私単純な人間だから。喫煙者には、「タバコと酒」って言った方がわかってもらえるのかしらん…

>ぱぴよんさんあの映画も素人さんを多く使ってるみたいだけど、すごく自然だったね。私は桜桃の味=自然の恵みと解釈したよ。ラストの光景もまさにそれで。おいしいもの、美しいもの、それに感謝する気持ち。年寄りが言うと説得力ある。

若い神学者より次に出合った老人ってわかりやすい昔話構図はやっぱりいいね。もちろん私も自然の恵みととってるよ。でも信仰心のある人だとやはり自然の恵み=神のみわざってことになるのだろうなと最近よく考えます。私は旅行しない人間なので、大自然に触れるってことが全くないというあたりで人一倍、野菜や果物を食べた時自然の豊かさを味わってるみたいです。(食うことばっか!苦笑)だから尚更何十年も生きてきてそんなこと人から言われんとわからんか!とか、自殺サイトに集う若者は“おいしい”先にあること、恵みを受けながら自分が生かされてる事を感じられないのか?!って思うわけ。結局私はロードムービーも嫌いだけど(車嫌いだから!笑)数ある登場人物のタイプで、自殺幇助を頼む(連れ合いを探す)奴と狂言自殺する奴が一番嫌いで…作品の質を認めても感動できないのはそのせいもあるかな。

>ぱぴよんさんんー、だからたぶん自殺まで考える人は、美味しいものを食べても、それを美味しいと感じることができなくなっている状態だと思うよ。誰でも落ち込んだときというのは、大なり小なり、そういう無感覚に陥ると思う。なので、この映画は特に「自殺」にテーマを絞っているわけではないと解釈してるけど。あと、自然の恵み=神のみわざはもちろんそうなんだろうけど、特定の宗教を持ち出していないのもこの映画のいいところと思う。昔から山の神とか海の神とか八百万の神々を信仰してきた日本人にも共通する考えなんじゃないかな。

映画からそれた話してるみたいですみません。私も自殺と宗教の映画とは思ってないです。ただ私が毎週聖書講習に通ってて、恵みや何かを感じること、善き行いをすることに、神という理由が必要なのか?って自問自答してるもんだから…まだ話していい?(笑)

中年の危機とか行きずまりの状況に陥った人とかは老人の言葉も理解できるけど、私が恐れてるのは、自殺“願望”の若者達。自殺サイトのNHK特集、ちゃんと見なかったのを後悔するくらい色々と驚いた。だって生まれてから一度も楽しかったことがないとか言う子いるんだもん。皆楽しいことって人から与えられるもんだと思ってるのかな?自分もかつては…という人が作ってるサイトがあって、頭ごなしに思い留まらせようとすると、逆に追い詰めて踏み切らせちゃうし、かといって突き放すわけにもいかないところが難しい。この手のサイトが禁じられると、彼らとの接触を持てなくなるのでそれもまずい等々…いつやったか忘れたけどヒカさんは御覧になってました?

>ぱぴよんさん神という理由が必要なのか・・・おーい、こんなところで話すには難しすぎだよ(笑)困ったときだけ神に祈るのでは、虫が良すぎるからでしょか。若者の自殺願望はわかりませんね、私も(NHKのは見てない)。10代の思春期だったらまだあるかも。でも20代、30代が多いでしょ。日本の文化を疎かにして、西洋に合わせてきた歪みかもしれないし、余計なことを考えるヒマが多すぎるのかもしれないし、情報が多すぎたりするのも関係あるだろうし、腐った社会のニュースもいっぱいあるし、今は将来に夢が持てないと言われたら実際のそうだし、いろんなものがつながっていて、解決方法はあるんだろうかね。やっぱり人と話すのが一番だろうけど、ネットは無責任発言も横行するので良いところも悪いところも両方あるだろうね。

こんな程度のことしか考えられない。今は自分の職探しで手一杯なのだー。

お忙しいところスンマソン!業務連絡ニツキレスフヨウレス!自殺サイトならぬ自殺倶楽部…渋谷Bunkamuraル・シネマで16日(金)まで公開中「青い棘」…待ってましたぜ!ドイツはギムナジウムの男子学生のお話。ベルリン狂乱の20年代に起きた実話の事件です。「グッバイ・レーニン」の監督で、主演ダニエル・ブリュールもまたよいのだけど、相手役が…!クリストファー・ウォーケンの若かりし頃と見まごうばかりの青い血脈!ギュンター役はアウグスト・ディール君。全編舐め回すように見入ってしまいましたが、もう1回行こうとまで思ってます!まなざし、表情…○○シーンまで似なくても!というくらい…やはり出るべくして出てきてくれるのだ~と感涙したいくらいでございました。青い血族ファンの皆様!必見でございます。ヨロシク!http://www.bunkamura.co.jp/cinema/head35.html

>ぱぴよんさん公式をちらと見てきたよ。漫画チックで耽美な映画かと思ったらそうでもないようで?青い血系、好き好き(笑)けど渋谷は面倒だなあ・・・今節約生活してるし。でも覚えておく。2番館落ちあるかもしれないしね。

まんがチックってギムナジウムのホモネタだから?(笑)私もそのこと以外は頭に入れず考えずに見ましたが、はっきり言うと退屈な映画です。それは事件の前日から当日までの2日間に絞って丹念に若者の心理を描いているもので、劇的な過程があっての事件ではないからです。でも若者の脆さ儚さ、何とも言いようのない時間の流れを真っ向から捉えた姿勢は買いました。ちゃんと描けていたと思います。でもとにかくアウグスト・ディールが出てきた作品と言われるようになると思うわ。ところで、ヒカさんはマンガ・アニメは一切御覧にならないのでしたっけ?それでもお薦めしたいのが土曜深夜フジ放映中「蟲師」来年大友克洋(原作は別人)が個人出資応募形式で実写で映画化するそうですが、内容は説明できないのでしません(笑)土曜の夜明け3~4時に起きてらしたら8をつけて見てね!

>ぱぴよんさん「蟲師」は前々から面白いという評判だけ知ってますよ。アニメやってるもの知ってるけど・・・せめて深夜1時台ならね。映画はオダギリ主役だったかな? どこかでちらっとニュース見かけた。青い棘のもう一人の主役(顔の丸いほう)、昨日サッカーW杯の組分けのニュースで、組み合わせの感想をインタビューされてた。ドイツのニュース番組からいただいた映像だと思うけど、テロップもアナウンスもなくほかの一般市民と同じ扱いだった(笑)。

何だ結構ご存知なんじゃないですか!私は全然何も知りませんでしたよ!深夜のスタトレ時の新番組CM見て何これ?何なんだ!って…だって何の説明もされずに墨文字が浮かび上がって飛んでいくシーンが映って…何かがあると思って見始めたの。案の定本編でも必要最低限の説明が会話でなされるだけで、主人公の服装、佇まい、そっけなさがかなり今風なのに、しばらくしてから、明治初期!の時代設定だってどっかで見て…(笑)そういえば主人公以外の登場人物は皆着物着てたわ…(少女まんがでは現代でも田舎の良家とかになるとそういう設定ありだから)でも主人公の名前もカタカナで“ギンコ”(オトコ)ってんだよ?(笑)OPがギター伴奏の英語で脱力系のささやき歌なもんで、いや~最近の日本人も発音良くなったな~って感心してたらイギリスのフォーク歌手だったっ(笑)!

で、内容もご存知でせうか?テーマは生命の根源に迫るもの…とでも言いましょうか、「蟲」ってのが、本来の虫じゃなくて動物でも植物でもない。完全な生命に進化する以前の半生命体。進化の木を腕に例えると、人間が指先で植物が手首なら、蟲は腕の付け根くらいということだそうな。そういうことを、日本の近現代の田舎の村々で起きるXファイルを解決したりできなかったりという中で語っていくのがとてもうまいのよ。ビデオ失敗して1週見逃したのが悔しいくらい!(笑)こういうことを何気に描いてくる作家が出るのが日本のマンガ界のさすがなところだと思うけど、日本マンガの進化の木として、水木しげるって土台の上に宮崎駿の影響とかもやっぱりあるかな…それを大友先生が映画化ってとこがね、天才でも自分の描けない領域を認めたってこと?なんて色々かんぐっちゃう!

ダニエル・ブリュール君いいわよ~かわいいわよ~古都欧州(字何だっけ?笑)もかわいいけど…とにかく正調正統派なんです。ハリウッドではそういう素質の子には役が与えられず、出てこれない状況を考えますと、聖林に行こうなどという気を起こさないでくれれば、立派な俳優におなりになると思います。それが魚犬ジュニア(再度確認済)と組んだんだから、最高の若者映画よ!(退屈って言えば退屈なんですがね…苦笑)事件のシーンの撮影に当って、二人とも数日間水のみの断食で、興奮剤を飲んで臨んだそうです。実際二人とも非常に研ぎ澄まされたモードで、空間にも緊迫感が満ちていました。将来大有望の若者二人がこれだけ入れ込んだ作品です。是非御覧になってあげて下さいまし!ところで、サッカーファン代表としてでも知られてるんでしょうかね。すでに文化人コメンテーター格かい?(笑)

>ぱぴよんさん深夜の漫画は面白いのがけっこうあるよね。私もなぜか今ごろになって「ガラスの仮面」を見てるし(漫画もごく最初のほうしか読んだことがない)。「蟲師」はぱぴよんさんの説明だと、諸星大二郎の系譜でもあるようだけど。DVDが出たら借りて見てみようかな。ダニエル・ブリュールは、ドイツの若手ではダントツに知名度が高いではないでしょうか。て、ほかはドイツ俳優は知らないので。正統派かもしれないけど、年をとるとつまらない顔になりそう。あ、ひどいこと言ってるな、私w

「ガラかめ」のアニメなんか深夜で再放送してんの?それってすご~く古いんじゃ…(笑)諸星大二郎先生をご存知とは即ち漫画に大変お詳しくていらっしゃったんじゃあ~りませんか!私も学生時代夢中になってむさぼり読みました。BSマンガ夜話等でも度々語り継がれる手塚治虫語録をご存知ですか?手塚先生はいつも誰の作品でも簡単に自分にも描けるんだという持論を吹聴されるのですが、例によって大友克洋氏ご本人と対面され…「僕はね、君のなんか簡単にできるよ。僕ができないのはね、諸星大二郎だけなんだ…」とおっしゃったそうです。何度聞いても楽しい話!

「蟲師」は確かにその系譜でもありますが、キャラが明治時代の人間に見えないのと同様に、作風も風のような軽さがあって、諸星先生のようなおどろおどろしさ、恐ろしさ、深さはありません。一見今風ではあるのですが、そういった重たい恐ろしい感覚を取り払ったところで淡々と語られるだけに、生命の不思議にピュアな部分で近づこうとしているように感じられ、そこらへんがやはり新しくて気に入りました。

>ぱぴよんさん学生時代まではけっこう読んでたんだよ、漫画。今は根気がなくて、数ページも見ていられないのはなぜー?でも深夜のアニメは好きでよく見てる。ロリっぽい絵以外のもの限定だけど。手塚画伯のその発言はどこかで読んだことあるわ。諸星大二郎はヘタウマですよね。世界観も独特だけど、あのタッチは上手い人には真似できないかも。「蟲師」、もっと早い時間に再放送してくれないかなあ。

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