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2005年9月21日 (水)

オペラ好きの刑事。

スウェーデンの田舎町イースタを舞台とした警察小説、クルト・ヴァランダー・シリーズの第1作。

『殺人者の顔』ヘニング・マンケル著
(創元推理文庫 2001年)

Fi1873549_0e 冬の早朝、過疎の農村に住む老夫婦が残虐な他殺死体となって発見される。手がかりは縄で首を絞められた妻が残した「外国の…」という言葉と、見慣れない縄の縛り方。捜査の責任者ヴァランダー刑事は、国内の移民排斥運動を煽ってしまうことを恐れ、外国人容疑者の線は伏せるが、署内の何者かがマスコミにもらしてしまう…。

3作目の『白い雌ライオン』が面白かったので、さかのぼってみた。中年刑事のヴァランダーは妻とは離婚したばかりで未練たらたら。家出した娘ともあまりうまくいっておらず、さらに一人暮らしの老いた父が頑固なうえに、最近はボケの症状も出てきて、忙しい捜査途中にも何かと気を揉まされる。事件解決には人一倍情熱を注ぎつつ、私生活においてはやさぐれ気味という中年刑事の心のうちのほうが、話の本筋より面白かったりして。
警察小説はディテール、特に主人公とその仲間の人柄が命といいましょうか、音楽などの趣味も大切な味付けで、ヴァランダー刑事の場合は、「オペラ好き」という点がしばしば強調される。事件で頭がいっぱいでないときは、妻のいない寂しさを、夜中じゅうマリア・カラスを聴くことでなぐさめ、夢の中で褐色の肌と女と出会うことを楽しみに眠りにつくのだ。

小説の背景にあるのは、第二次大戦後のわずか50年ほどの間に、国民の5分の1が外国にルーツをもつようになったというスウェーデンの移民受け入れ事情。作者も諸手を挙げてそれを歓迎しているわけではない様子。日本も将来、移民比率が高まっていくのは必至かしらね。少子化による労働力不足がどういうことか、今のところはピンと来ないわけだが…。


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