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2005年7月17日 (日)

ノスタルジックな社会派ミステリー。

『ボトムズ』ジョー・R・ランズデール著
(ハヤカワ文庫 2001年邦訳)

Fi1616040_0e ボトムズと呼ばれるテキサス東部湿地帯の町で生まれ育った老人が、70年前の夏に起きた殺人事件を回想するというスタイル。当時11歳だったぼくは、妹とともに迷い込んだ森の中で、伝説の怪物“ゴート・マン”に出会い、必死に逃げる途中で、全裸に有刺鉄線を巻かれた黒人女性の腐乱死体を発見する。やがてそれは連続殺人事件へと発展し…。

ハップ&レナード・シリーズの作者による単発ミステリーで、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞受賞作。
1930年代のアメリカ南部は、いまだ黒人をリンチして、見せしめのために木に吊すという残忍な人種差別が横行している。それゆえに黒人女性の殺人事件に、多くの住民は無関心のままで、この事件に便乗して、KKKのような自警団が登場してくるのは、予想どおりといったところか。

内容的には、連続殺人犯が最後は自ら馬脚を現し、推理ものとしては、驚きも新鮮さもなかったのだけれど、好奇心旺盛なぼくの目を通して描かれる当時のテキサスの田舎町の様子、ゴート・マンやトラベリング・マン(悪魔に魂を売った男)の伝説が面白かった。

また、誰もが潜在的にもっている差別意識を、分かりやすく説く小説でもある。犯人探しに乗り出す主人公の父親は、極めてリベラルな考えの持ち主だが、その父親が、子供の頃に釣りで知り合った黒人少年との思い出話を主人公に語り聞かせながら、自らにも潜む差別心を省みる場面は印象的だ。


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