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2005年7月

2005年7月30日 (土)

選択が尽きるときは呼吸が止まるとき。

つまりネバー・ギブ・アップ!

『ただ一度の挑戦』パトリック・ルエル著/羽田詩津子訳
(ハヤカワ・ミステリ 1994年刊)

かつてIRAの爆弾テロで恋人を失い、自らも火傷を負って、左頬の耳からあごにかけて凍りついた川さながらの傷痕が残ることになったドッグ・シセロ警部。イタリア系の血を引く、このロムチャーチ警察の警部が、再びIRA組織のからんだ子供の誘拐事件に、子供の母親を助けながら、ただ一人立ち向かっていく…。

レジナルド・ヒルが別名義で綴った冒険サスペンス。
原題は「The Only Game」。小説中にシセロ警部が、ポーカーの名手であった伯父の言葉を引用する場面が何度も出てくる。捜査の段階で行き詰まり、次の行動の選択に迫られると、シセロはその伯父の教えに従い、常に確率によって物事を判断しようとする。なので表面的にはとてもクールなんだが、真相を突き止めようとする情熱は人一倍。美しく心惹かれる女性が、警察からも見放され窮地に立たされていると判断すると、自ら警察を辞めてまで。それは正義が下されることへの執念なのか、個人的な愛なのか…。

レジナルド・ヒルの書く小説は基本的に硬派だが、これもロマンス要素がいい塩梅で盛り込まれ、いつもながらセンスよし!

原題はCommitted

DVDで鑑賞。

「ノンストップ・ガール」(2000年 米)
★★★★

Fi1668531_0e 一生寄り添うと思い込んでいた夫に逃げられ、ストーカーと化す妻の話。コメディの割には笑えないと思いながら見ていたら、後でじんわりと染みてきた。
やれることはとことん、気がふれるくらいまでやった挙げ句に、現実を納得し受け入れる。そんな、傍目には物わかりが悪く不器用に見えるけれど、自分自身に誠実な人間は嫌いじゃないわ。

天然の“いかれてる”感があるへザー・グラハムが、ストーカー妻役。まあストーカーといっても、やってることはいちいち可愛らしい。グラハム自身もとてもキュートに演じている。監督・脚本が女性(リサ・クルーガー)と知って納得。

彼女が夫を追いかけてたどり着く先が、メキシコ国境のエルパソ。なぜか、この辺りを舞台にしたアメリカ映画に好きなものが多い気がする。サボテンだけが生えている赤茶けた大地に異国風情を感じるってだけじゃない、何かがあると思うんだが・・・。んー、人間と人間が裸で向き合えそうな感じがいいのかな。違うかな?

で、そこでヒロインが出会う造形作家の男を演じていたのがゴラン・ヴィシュニック。昔昔のニコラス・ケイジをちょっくら思い出させる、頭のねじのゆるんだ男独特の放っておけない色気(?)を漂わせていて良かったんだ、これが! さっそくチェックリストに追加しました!
ふむふむ「ER」にレギュラー出演していたのかあ。途中で見なくなっちゃったからな。クロアチア出身……、いかにもそんなルックスと雰囲気だ。そして、次期ジェームズ・ボンド候補の一人ですと? クロアチア人なのに? うーん、これはますます他の出演映画を見てみたいかも。仕事がひまになったら借りてきましょう。


2005年7月26日 (火)

消えゆく王者。

昨日たまたまNHKの「地球・ふしぎ大自然」を見てたら、秋田のブナの森の四季をやっていた。クマゲラ、アカショウビン、モリアオガエル、クロサンショウウオ、ヒメネズミなど森の小さな生き物たちの映像に、ほのぼのして見入ったよ。

サンショウウオの子供が、ウーパールーパーそっくりだった! ウーパールーパーもサンショウウオの仲間なので、似ていて当たり前なのだが、普通のサンショウウオも、子供のときはエラが逆立っているのかあー。そうなのかー。
なんて感心しながら見てたら、森の泉の生態系の王者といわれるなんとかゲンゴロウモドキという名前のゲンゴロウの一種が登場して、サンショウウオの子供をぱっくり、ムシャムシャ、食べてしまった! ゲンゴロウモドキは離れた目とメタリックな感じが、殺人ロボットみたいだった。

でも、大きなゲンゴロウの仲間の多くは、とっくに絶滅危惧種なんですね。同じく水生昆虫の王者タガメも…。
農薬による水質汚染のほかに、道路沿いの灯りも大きな原因らしい。田んぼ沿いの灯りに吸い寄せられて、体力尽きて死んじゃうそうだ。オタマジャクシやドジョウの体液を吸うタガメなんて、以前は不気味な生き物でしかなかったけど、気の毒なことになっている。長い間、嫌ってきてゴメンよ。ホタルばかりじゃなく、ゲンゴロウやタガメにもスポットが当たればいいね。

2005年7月25日 (月)

最初で最後の遠吠え。

『凍える牙』乃南アサ著
(新潮文庫 1996年)


Fi1649225_0e 深夜のファミレスで、ズボンベルトに仕掛けられた爆薬による殺人事件が起きる。そして、被害者の男性の遺体には獣に噛まれた傷跡があった。数日後、同じ獣の仕業と思われる咬殺事件が発生する。果たして2つの事件は同一犯が仕組んだものなのか…。


【以下ネタばれ】
男性が多い職場で働く女性には、大いに共感を呼びそうな本だ。女性蔑視の同僚たちに愛想を尽かした主人公の女性刑事が、孤高の殺人犬に惹かれていく気持ちが、よーく分かるぞ!

でも、この本の中でその女性刑事とコンビを組まされる男性刑事の気持ちも、まったく分からないわけではない。私も仕事で外部の男性と組むときは、相手が同性だったら余計な気を回さなくても済むのになぁと思ったことが何度かあった。女性嫌いな態度をとる男性が、人間的にダメというわけではないのもよく分かっている。むしろ自称フェミニストな男のほうが、問題あったりする。
その点、この小説の女性・男性の刑事コンビは、最後まで変に分かり合おうとせず、親しくなり過ぎずに、好感が持てた。女性刑事が美しいうえに、仕事もとてもできるので、自分と重ね合わせて読むにはちと無理があったけど(笑

犯罪の背景や犯人の動機は二の次のような扱いで、ミステリーとしては後半になって面白さが失速する。でも美しい小説。


オオカミと犬とを交配させたウルフドッグ(オオカミ犬)の存在を、この小説で初めて知った。そういえば日本オオカミ協会という団体が、日本にオオカミを復活させようと、中国のオオカミを輸入して山に放つという構想に真面目に取り組んでいたが、その後、どうなっているのか。
実現の良しあしは自分には判断できないが、生態系保護を考えるときに、オオカミ復活の議論は面白い。


2005年7月24日 (日)

先が見えない

エジプト・シナイ半島のシャルムエルシェイクでのテロ事件は、同様の事件での死傷者数が国内過去最悪になったそう。

外国資本のホテルが多い高級リゾート地が狙われるってことかな。私も秋の中東行きでは、ヨルダンのアカバやレバノンのベイルートにも立ち寄る予定。特にベイルートには3連泊の予定で…。なんて思っていたら、ベイルートでも昨日再び爆弾テロが起きてるじゃないか!

これ以上、中東で連鎖テロが起きませんように。手前勝手だけど、ひじょうにひじょうに困るの! 旅行が中止になったら。

で、その旅行だが、申し込み手続きをしていたら、イスラエルに渡航歴のある人はシリアやレバノンなどには入国できないということを知った。パスポートにイスラエル出入国のスタンプがある場合は、取り直せば問題はないみたいだが、いつ何が起きるか分からないという緊張は、ふだんから強いられるってことだ。

といっても、日本にいても別の緊張感あるね。昨日の地震はさすがに焦った。とっさになんにも判断できなかった。でも、天災ならまだマシなのだろう。憎しみが育たないだけ。

私家版・元気になる音 その27

いわゆる歌い上げ系のバラード曲だけど、大好きです。

Elvin Bishopの“Fooled Around And Fell In Love”

Fi1642793_0e エルヴィン・ビショップっていつもテンガロンハット被ってるのかな? ホワイトブルースのギタリストで、自身グループでの最大ヒット曲が1976年の「フールズ・アラウンド・アンド・フェル・イン・ラブ」…と思う。「愛に狂って」という邦題がついてたっけ? 歌の出だしから大きなのりが気持ちいい。タイトルになっているサビ部分は当然一緒に歌う。♪いん・らぁーーーーぶの前に一瞬タメがあって、ドラムのおかずが入るのが快感だ。

エルヴィン自身も歌うけど、この曲のリードボーカル担当は後にスターシップに参加するミッキー・トーマス。それほど好みのボーカリストというわけではないのだけど、この曲は彼の高音ボイスがあってこそだろうなあ。

写真は77年のアルバム『Live! Raisin' Hell』。タワー・オブ・パワーのホーン隊や女性コーラスも加わった、1曲目から飛ばしまくりの、ファンキーかつゴージャスなライブ。CDの音もとてもいいし、賑やかなブルースやツインギターがハモる系のサザンロックが好きな人にはたまらんと思う。「フールズ・アラウンド…」もスタジオ収録のアルバムに比べたらこっちのほうがいい。
ただ、ラスト収録曲がサム・クック・ナンバーのメドレーで、それ自体は悪くはないんだけど、なぜこれを最後に持ってきたんだろ?ま、とてもご機嫌なライブアルバムであることは確か。


私家版・元気になる音 その26

1973年から77年頃までの洋楽が、自分の音楽の原点。この頃の好きな曲を挙げ始めるとキリがなくなる。ヒットした曲すべて、今では大きな心の財産だ。それだけ自分の音を受け入れる間口も当時は広かったわけで、この人の曲などは、もっと後の時代に接していたら、あさっりと素通りしていただろう。

Jim Croceの“I Got A Name”

Fi1642677_0e シンガーソングライターのジム・クローチは、人気絶頂に差しかからんとする1973年の秋に飛行機事故で亡くなった。彼の音楽に欠かせなかったアコースティックギター担当のモーリー・ミューライゼンと共に。
しかし、亡くなった後も曲は次々とリリースされ、それらがいずれもヒットするという現象を生んだ。「リロイ・ブラウンは悪い奴」「タイム・イン・ア・ボトル」「歌にたくして」ももちろん大好きなわけだが、「アイ・ガッタ・ネーム」を聴くと、さまざまな感情が混じった熱いものがこみ上げてくる。亡くなって最初にヒットした曲だからか…。
でも、そんな先入観などなくても十分にいい曲だね、きっと。


2005年7月18日 (月)

私家版・元気になる音 その25

ホレス・シルバーときたら、スティーリー・ダンのこの曲ですよ!

Steely Danの“Rikki Don't Lose That Number”

Fi1619975_0e この人たちをアルバム単位で聴いたのは『彩(エイジャ)』が最初だったけど、曲だったら「リキの電話番号」。全米TOP40育ちとしては、74年のヒット当時を思い出してとても懐かしい! それ以前のヒット曲「ドゥ・イット・アゲイン」とともに、際立った個性を感じた曲だった。もちろん大好きだったし。

収録アルバムは『プレッツェル・ロジック』。かなり後になってから購入したんだけど、スタジオミュジシャンの使い方など、この時点ですでに『エイジャ』と変わらないことをやっていたんだと、ちょっとびっくりしました。

どうでもいいけど、ドナルド・フェイゲンの声とボブ・マーリーの声がそっくりに聞こえたことが、以前はあった。


私家版・元気になる音 その24

4ビートジャズを本格的に聴き始めた頃に、おっ、この曲かっこええ、演奏してみたーいと思った曲の一つがこれ。実際やってみると、展開多すぎて超難しそうだけど、形だけでも決まったら気持ちよさそう。

Horace Silverの“Nica's Dream”

Fi1619827_0e ラテンテイストのマイナー調ナンバー。日本人には親しみやすいテーマのメロなんだな、たぶん。ピアニストであり作曲家としても一世を風靡したホレス・シルバーの、現在では「ソング・フォー・マイ・ファーザー」なんかと並ぶ有名曲。

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズでの演奏が一番よく知られているのかな? 作曲者ホレス・シルバーのリーダーアルバムでは、ザ・ホレス・シルバー・クインテットの『Horace-Scope』に収録されておりこっちもなかなか熱い演奏です。というか、こっちしか持っていないんだけど。
フロントはブルー・ミッチェル(Tp)とジュニア・クック(Ts)。この2人の組み合わせが絶妙と思う。

ホレス・シルバーの正式名はHorace Ward Martin Tavares Silverというらしいよ。


2005年7月17日 (日)

殺人事件に巻き込まれたのは誰?

ブログ更新滞り中。そこそこ忙しいってのもあるけど、あと2カ月余りで会社を辞めると決まったら、あらゆる意欲が減退。退職後に社会復帰できなくなったらどうしよう。怖いです・・・。
とりあえず、読んだ本くらいはメモっとく。


『昏い部屋』ミネット・ウォルターズ著
(創元推理文庫 1999年邦訳)

Fi1616045_0e 見知らぬ病院のベットで目覚めた写真家のジェイン。自動車事故による自殺未遂を図って担ぎ込まれたと知らされるが、事故前の10日間の記憶を失っている。そして、彼女が事故を起こした同じ日に、婚約者と彼女の親友の女性が一緒に惨殺されたこと、ジェインがその容疑者であることも知らされる。実は、数年前にも彼女の元夫が同様の手口で殺されていたためだ…。


なんだかんだでミネット・ウォルターズの作品はおよそ読んでいるのか? 話の運びが巧みなので、つい見かけると買ってしまう。これは最初はハードカバーで翻訳が出て、今年文庫化されたので、執筆順としては『囁く谺』や『蛇の形』より以前の作品になる。文庫なのに1200円は高いなあ・・・。

【以下少しネタばれ】
物語の途中で、裏社会に通じた不動産業界の大物であるジェインの父や、ゴロツキ同様のジェインの義母兄弟も容疑者として浮上する。結末はやや拍子抜けの、無難な路線(?)に落ち着くが、どうにも釈然としないまま。これは作者の意図的なもののようだ。

ウォルターズの描く女性は、一筋ならではいかないことが多い。盛んに名前は登場しながら、一度も姿は表さないで終わるジェインの父親の存在は不気味だが、ジェインはそれ以上に、本質を表さないしたたかな女に思える。最後のとってつけたようなキャラクターの変貌ぶりが、ぞっとさせなくもない。父と娘の力関係をいろいろと想像してしまった。


ノスタルジックな社会派ミステリー。

『ボトムズ』ジョー・R・ランズデール著
(ハヤカワ文庫 2001年邦訳)

Fi1616040_0e ボトムズと呼ばれるテキサス東部湿地帯の町で生まれ育った老人が、70年前の夏に起きた殺人事件を回想するというスタイル。当時11歳だったぼくは、妹とともに迷い込んだ森の中で、伝説の怪物“ゴート・マン”に出会い、必死に逃げる途中で、全裸に有刺鉄線を巻かれた黒人女性の腐乱死体を発見する。やがてそれは連続殺人事件へと発展し…。

ハップ&レナード・シリーズの作者による単発ミステリーで、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞受賞作。
1930年代のアメリカ南部は、いまだ黒人をリンチして、見せしめのために木に吊すという残忍な人種差別が横行している。それゆえに黒人女性の殺人事件に、多くの住民は無関心のままで、この事件に便乗して、KKKのような自警団が登場してくるのは、予想どおりといったところか。

内容的には、連続殺人犯が最後は自ら馬脚を現し、推理ものとしては、驚きも新鮮さもなかったのだけれど、好奇心旺盛なぼくの目を通して描かれる当時のテキサスの田舎町の様子、ゴート・マンやトラベリング・マン(悪魔に魂を売った男)の伝説が面白かった。

また、誰もが潜在的にもっている差別意識を、分かりやすく説く小説でもある。犯人探しに乗り出す主人公の父親は、極めてリベラルな考えの持ち主だが、その父親が、子供の頃に釣りで知り合った黒人少年との思い出話を主人公に語り聞かせながら、自らにも潜む差別心を省みる場面は印象的だ。


2005年7月 9日 (土)

好みのワインは理想の相手に似て…。

大学時代からの親友である中年男性2人が、片方の結婚を前に、ワイン産地の南カリフォルニアへ1週間のドライブ旅行をするロードムービー。

「サイドウェイ」(2004年 米)
★★★★☆

DVD借りました。昨年の数々の映画賞を受賞した話題作です。監督は「アバウト・シュミット」や「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!」など、独特のユーモアセンスのある作品で知られるアレクサンダー・ペイン。

主人公のマイルス(ポール・ジアマッティ)
 ・作家になる夢を捨てきれない学校教師
 ・離婚歴あり、いまだその傷心から立ち直れていない
 ・じっくり考えて行動派
 ・大のワイン好きで、旅の目的はワイナリー巡り
親友のジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)
 ・今は落ち目のテレビ俳優
 ・年の離れた若い女性と結婚間近
 ・直感で生きてきたタイプ
 ・女好きで、旅の目的は独身最後のハメはずし

こんな対照的な性格の2人は、旅の間、しょっちゅう口論してる。映画は中年男2人の情けなく滑稽な珍道中といった内容。でも、2人は見ていてうらやましくなるほどの気が置けない仲で、それがとても清々しい後味となって残りました。これも、大人のための映画だなぁ。うん。
ヴァージニア・マドセンとサンドラ・オーが演じる、旅先で出会う女性たちもキャラが自然で、好感もちました。サンドラ・オーは、アジア系の女優としては珍しくキツイ顔をしていないのがいいですね。実生活ではペイン監督と夫婦だったが、この映画を撮り終えてしばらくして離婚したとか。あらまっ。


人生で何一つ達成感がもてず、半分あきらめ入った独身中年の映画は心に染みます。でも、大抵は男の話なので、女が主人公の映画がもっと見たいなあ。中年なのにモテるという設定は、リアリティがないので却下です。
もう子供を産んで育てるのが困難な年齢で、それゆえに負け犬なんて言っていられる余裕とも無縁で、自己嫌悪から落ち込んでいてももはや誰からも同情されず、ときに開き直れば世の中からウザがられる、中年独身女のコメディ映画が見たい! サスペンスやアクション映画でもいい。需要あると思うのだが。

キリアン・マーフィー週間

バットマンビギンズに影響されて借りてみました。クレイン博士を演じていたキリアン・マーフィーの出演作3本。

「28日後…」(2002年 英/米/オランダ)

ゾンビものとは知らないで見てしまった! 正確には1回も死んではいないのでゾンビと呼ぶのは間違いかもしれないが、とにかくこいつらがうじゃうじゃとしつこくしつこく襲ってくるホラー映画だけは怖いのよ。苦手なのよ!
猫一匹すら横切らないロンドンの街。何が起こったのか、まだぜんぜん事情が把握できてない主人公(キリアン)が、教会にたどり着き、死体の山らしきものに「おーい!」なんて声をかけちゃうところで気付いた。これはゾンビ映画だって! うつぶせで死んでると思った人間が、主人公が見てないところでムクっと起きあがって振り向くってのが、いちばん怖いわ。
でも、そのショックを乗り越えたら、あとは楽勝だった。ゾンビものは20年くらい避けてきたが、知らない間に免疫ついてたみたいだ。

人間の内面の変化の描き方とか、割とマジメな映画だったかも。DVDでの映画の結末は劇場公開バージョンとは違っているらしく、特典にあったそっちのバージョンも見くらべてみた。家でくつろいで見るならDVDバージョンが正解かしらね、やっぱり。

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「コールドマウンテン」(2003年 米)

アンソニー・ミンゲラ監督。南北戦争を背景にした美男(ジュード・ロウ)と美女(ニコール・キッドマン)の悲恋もの。この2人ともう一人のメイン出演者レニー・ゼルウィガーは、きっと映画「ひまわり」みたいな三角関係で、見たら絶対泣く!・・・と想像していたら、そんなドロドロ関係とは無縁な映画でした(がくっ)。

いい映画だと思いますけど、時間長すぎて、途中で飽きてしまって、ついでに晩ごはん作って食べたりして、きちんと見たとはいえないです。
ニコールとレニーの日常の描写などは、原作小説を読むほうが面白そうです。キリアンはちょい役で、気の毒な北軍兵士役。「28日後…」に出ていたブレンダン・グリーソンがこちらにも! おっちゃん、「キングダム・オブ・ヘブン」では絵に描いたような野蛮人を嬉々として演じていて、実にチャーミングだったのです。

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「真珠の耳飾りの少女」(2003年 英/ルクセンブルグ)

17世紀の天才画家フィルメールの名画誕生の謎を題材にして書かれた同名の小説を映画化。・・・くどい言い回し。
絵のモデルとなった少女(スカーレット・ヨハンセン)は、フィルメール(コリン・ファース)の使用人であり、強制的に絵のモデルにさせられてしまうのです。画家とモデルの関係というのは、ただでさえ甘美なものを想像させますが、この少女というのが、 厳格なプロテスタントの家育ちで、常に尼さんのような頭巾を被っているから、余計にこう・・・上手い表現が浮かばないんだけど、悩ましい感じです。

ストーリーは小品の味わい。でも、とにかく映像がきれいだ! どのシーンも、絵画そっくりの色彩と光が再現されていて、びっくりした。キリアンは市場の肉屋で、少女の恋人役。


以上、キリアン・マーフィーの日本で見られる主要作品を見てみたが、この3つに限っては、思ったほどのインパクトなかった。バットマンビギンズでの役が、やはり出色なのではないかと思いました。

2005年7月 1日 (金)

イヌのような人生。

映画のストーリーについては、極力情報を仕入れないようにしているけど、いやでも目に飛び込んできたテレビCMで、おおよその予想がついた。そして、想像していたのと原因は違ったのだが、結末はその通りに。まったく知らずに見たら、どうだったのだろう。

「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年 米)
★★★

【ネタばれ有り】
ヒラリー・スワンクがとにかくかっこいい! のっけから重いサンドバッグを叩いても、ぜんぜんぶれない鍛え上げられた身体がステキ。目の表情も顔つきも、これ以上は望めないほど魅力的な女性ボクサー。

そんな彼女の魅力が生かされた前半は、とても好きです。真っ直ぐな情熱ってだけで、ウルウルしてしまう。でも、後半になったら、その涙が引っ込んでしまいましたよ。

こういう重いストーリー、重いテーマはもちろんありです。けど、なんだかきれいにまとまりすぎてるのが今ひとつ。思うに、これは女性ボクサーに例えた「飼い犬」の話では?
スワンクの振る舞いや性格は、たまにやんちゃなところもあるけど、従順な犬そのものです。家族から見放された孤独な老人と、なついてきた捨て犬の交流はあっても、人間対人間の交流の点では、薄かった気がするんです。飼い主から見た一方的なストーリーではないかと…。途中、スワンクが父親の飼っていた犬に自分を例えて話すシーンがあり、そのエピソードはやりすぎな気がしました。

主人公を、クリント・イーストウッド演じる老トレーナー、つまり飼い主と割り切って見られればよかったのだけど、前半のスワンクのキャラクターがとても魅力的だったもので、つい彼女のほうに思い入れてしまいましたよ。イーストウッドの作品は好きなのがたくさんあるけど、これはまだまだ若い(笑)私には難解すぎたか?

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いつも付けている★の数はあくまでも自分の好み度合いです。欠点だらけの映画でも、それを補って面白いと感じれば5つ星。完成度がとても高い映画でも4つ星どまりのこともあります。また、そのときの機嫌の良し悪しによっても、4つが5つになったり、3つが2つになったり・・・。
ほとんど客観性はありませんのであしからず。


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