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2005年6月 5日 (日)

「彼を見つけ、理解してくれ…」

主人公はフリーの殺し屋。対照的な2冊。
【ネタばれ注意】

『長く孤独な狙撃』パトリック・ルエル
(ハヤカワ・ミステリ 1987年刊)

恋人が殺されたのをきっかけに、ライフルによる長距離狙撃の
第一級暗殺者となったジェイスミスだが、
たった一発の弾丸を外したことで、雇い主に対して一方的に引退を宣言。
過去を捨ててひっそりと暮らそうと、訪れていた湖水地方に
なりゆきからコッテージを購入する。
そして、そこで出会った未亡人アーニャと再び恋に落ちるが、
彼が殺すはずだった男は、そのアーニャの父親だった…。


原題は『The Long Kill』。
レジナルド・ヒルの別名義による冒険サスペンス。
雇い主とはお金による契約とはいえ、組織のたくさんの秘密を知って
しまっているジェイスミスがすんなり引退できるわけがない。
そして、彼が殺すはずだったアーニャの父親も、
ジェイスミスの後継者によっていずれは殺される運命にある。
何を犠牲にして、何を救うか・・・。

ラストが上手い!
あまりに美しく悲しい結末が待っていました。
昔の映画にこんなラストシーンがあったような気がする。
イングランド北西部の湖水地方の自然に詳しかったり、
山登りやトレッキングに興味があったら、もっと楽しめたかも。

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『ミス・メルヴィルの後悔』イーヴリン・E・スミス
(ハヤカワ文庫 2005年再刊)

ミス・メルヴィルはニューヨークの名家に生まれたが、
父親が財産をもって行方をくらましてしまい、今ではすっかり貧乏暮らし。
頼みの美術教師の職も失い、住む場所も追われることになって、
ついには自殺を決意する。しかし、死に場所に選んだパーティーで
自分を窮地に陥れた人物を発作的に撃ち殺してしまい、
同じ場所にいた暗殺グループのメンバーに見込まれて、
殺し屋として収入を得ていくことに…。


こっちは40代半ばの女性の殺し屋が主人公なのだが、
コメディにするって難しいなあ。
題材は面白い。金持ちの友人たちの生態も面白いけど、あまり共感しなかった。
殺される人の話がほとんど絡んでこないからだろうか?
指示を無視して、個人的な理由による殺人を再び犯してしまうし…。
反省もしてないし…。

これでラストがもっと辛口だったら、印象がずいぶん違ったはず。
いくら正統そうな理由があっても、人殺しを稼業とするからには
なんらかのハンディーを背負っていてほしいのに、何もないんだもん。
殺し屋になっても、運良くその仕事を辞めることになっても
さして変わらぬ生活、友達、恋人。
シリーズ第1弾らしいので、その後にどうなるか分かりませんが。

ミス・メルヴィルは、パーティーもぐりを得意とする殺し屋で、
本の中にはパーティーもぐりを趣味とする人たちが出てくる。
慈善パーティーなどにこっそり潜り込んで、タダの飲み食いを楽しむ人たち。
貧乏なのではなく、一種のスリルを楽しんでいる。
主催者によっては気付いていても、彼らを「サクラ」として扱い、
見て見ぬ振りをするらしい。
実際にそういう趣味の人たちがいるかどうか知らないけど、
いかにもニューヨークらしいと思った。



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コメント

前者は面白そうですねぇ。設定がとっても私好みです。今度読んでみます。・・・「読みたい本リスト」ばかりがどんどん増えて行きます。

この手を読み慣れておられるDjangoさんには、物足りないかもしれません。本には「冒険サスペンス」とありましたが、ロマンス色も強いのです。どうなのでしょうか。読みたい本いっぱい。私も純文学からはしばらく離れております(笑)

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