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2005年4月 1日 (金)

英国の有名なユーモア小説

『ボートの三人男』ジェローム・K・ジェローム著

前に取り上げた『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』のモチーフになった小説。
仲良しの紳士3人がボートでのテムズ河下りで休暇を過ごす話なのだけど、
正確には犬も1匹(名前はモンモランシー)同乗しているので、 本の扉には
副題として「犬は勘定に入れません」の文字が添えられている。翻訳は丸谷才一。

中身はテムズ河周辺の観光ガイドを兼ねた、小説というよりエッセイ集の趣。
1889年に書かれた古い本なので、観光ガイドの部分は正直いって退屈。
でも、3人と1匹の珍道中と、エッセイ部分はユーモアたっぷりで楽しかった。
さんざん苦労してコンパクトな荷造りに成功したのに、
真っ先に必要なものを一番奥にしまい込んでしまってもう一度荷ほどきするはめになるとか、
何でも先頭に立って仕切りたがる人ほど周りの人間の手を煩わすとか、
共同作業では誰もが自分が一番の働いていて損していると思っているとか…。
国や時代が違っても、笑いの題材となるものには大して違いはないようです。

特にパイナップルの缶詰の章がおかしい。
河の真ん中で「さあ、缶詰を食べよう」となったとき、何が起きるか?
もうお約束なんだけど、嫌いじゃないです、こういう笑い。
やっぱり食べ物ほど人間の感情を揺さぶるものはないのでしょうか。
今回の万博の弁当持ち込み規制をめぐってのゴタゴタも然りですが。



『ヘンリーの悪行リスト』ジョン・スコット・シェパード著

こっちは今年出版されたアメリカの若手作家のもの。
出だしはとても面白かったのに、あっという間に失速。
アイデアはいいのに細部のつめが甘すぎて、チープな印象しか残らなかった。
巻末の解説には「フランク・キャプラ監督の名作の数々を現代に甦らせたかのような、
愛と理想に貫かれた心温まるヒューマン・コメディ」とあるんだけど、
自分としてはぜんぜん納得いきません。

でもまあ、作家・作品との相性のよしあしというのはありますから…。
どうもミステリーばかりを読んでいるせいで、予想外な展開がないとガッカリしてしまう習慣が
ついてしまったよう。

作者は映画のシナリオライターとしてデビューした人で、
この小説もすでに映画化が決定しているそうです。
だったら最初からシナリオとして書けばいいじゃないかと思うわけですが…。
映画のほうが、演出や役者次第でもっと面白くなるかもしれません。
ふた昔前ならメグ・ライアンがヒロインを務めそうなラブコメ小説です。



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